カタツムリ、「操られた」末に迎える憐れな最期

臆病な生き物がなぜ鳥に見つかる行動をするか

時折、触覚が大きく飛び出すことも(写真:NUS/PIXTA)
生きものたちは、晩年をどう生き、どのようにこの世を去るのだろう──。
土の中から地上に出たものの羽化できなかったセミ、大回遊の末に丼にたどり着いたシラスなど生きものたちの奮闘と哀切を描いた『生き物の死にざま はかない命の物語』から、カタツムリの章を抜粋する。

臆病でなければ生きていけないカタツムリ

性格とは、どのようにして決まるのだろう。

もちろん、遺伝による先天的なものもある。後天的に置かれた環境や取り巻く人たちによる影響も受ける。

自分という存在が、どのように形づくられているのか? 本当に不思議である。

カタツムリは臆病な生き物である。

もっとも、カタツムリは臆病でなければ生きてゆくことはできない。カタツムリの天敵は鳥である。

カタツムリは、おせじにも逃げ足が速いとは言えない。空から襲ってくる鳥から身を守るには、つねに葉の裏に隠れ、危険を感じれば殻の中に閉じこもるしかないのだ。

葉の上に出かけるような冒険心のあるカタツムリは、次々に鳥たちの餌食になり、臆病で葉の裏に隠れ続けているカタツムリは生き残る。こうして、活動的なカタツムリが淘汰されていく中で、カタツムリは臆病な生き物として進化を遂げていくのである。

しかし、そんなカタツムリが、とても活動的で、積極的になることがある。

そのカタツムリは、ずいぶんと変わっている。カタツムリは、日陰のじめじめした場所に暮らしているものだが、そのカタツムリは、日光を好み、光を求めて、日当たりのよい葉の上に移動するのである。

そのカタツムリも、もともとはほかのカタツムリと同じように臆病であった。ところが、あるときを境に、急に性格が変わってしまったのである。

よく見てみると、そのカタツムリは性格だけでなく、見た目も変化してしまっている。

目の先端は異常に膨れ上がり、奇妙な模様が動いている。

性格が変わると目つきも変わるのかもしれないが、この変わり方は尋常ではない。動き回る目の模様は、まるでイモムシが動いているような奇妙な動きだ。

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