カタツムリ、「操られた」末に迎える憐れな最期 臆病な生き物がなぜ鳥に見つかる行動をするか
カタツムリは葉の上に出て、盛んに目の模様を動かす。UFOを呼び寄せたり、神を降臨させるがごとく、まるで何かを招き寄せているかのようだ。
しかし、こんなに目立っていたのでは、あっという間に鳥に見つかってしまう。そもそも、カタツムリが目立たない葉の裏でひっそりと暮らしているのは、天敵の鳥に襲われないためである。こんな目立つところにいては、自ら鳥の餌食になっているようなものだ。
案の定、葉の上のカタツムリは、鳥に見つかった。そして、見つかるが早いか、飛んできた鳥のくちばしについばまれて、食べられてしまったのである。
なんとあっけなく、憐れな最期だろう。
葉の上に出ることさえなければ、命を落とすことはなく、もっと生き永らえたはずだ。
もしかすると、熱心に動かしていた目が、鳥の好物のイモムシに見えたのかもしれない。
どうして、慎重だったカタツムリが、不用意に葉の上に出かけていったのか、悔やまれてならない。
しかし、である。
実は、このカタツムリの不可解な行動は、すべて仕組まれたものであった。
目つきがおかしいというのが、怪しい。もしかすると、何者かに操られてしまっていたのではないだろうか。
寄生虫に侵されていたカタツムリ
まさにそのとおり、実はカタツムリは寄生虫に侵されていた。カタツムリの目の中で動いていた模様は、カタツムリの目の中に侵入した寄生虫だったのである。
それだけではない。この寄生虫はカタツムリの体内に寄生するだけでは飽き足らず、カタツムリの行動まで操っていたのである。
カタツムリに寄生していたのはロウコクロリディウムという寄生虫である。この寄生虫は、もともとは鳥に寄生する虫である。
しかし、ずっと同じ鳥の体内にいるだけでは、この寄生虫は増殖できない。たとえ卵を産んで増殖したとしても、いずれその鳥が死んでしまったら、一族もろとも死んでしまうことになる。寄生虫が子孫を残していくためには、次々とほかの鳥へと感染していかなければならないのである。
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