マリノスサポーター「バナナ事件」を考える

第9回 対症療法的な日本、社会に踏み込むドイツ

日本企業における「スポーツ」の活用はあくまでも自社のためだが、ドイツのこのケースを見ると、経済と社会の間の大切な関係を促進するという部分でスポーツの価値を活用している。

より広い視野での議論を

地域や企業でスポーツの価値を用いた取り組みは、結果的に社会全般における人種や同性愛者の差別をなくす動きにつながるだろう。そもそも差別問題は何もサッカーの試合会場だけで起っているわけではない。それは日本でも同じことだろう。

 スポーツにおけるいじめや体罰の議論や取り組みをみていると、日本では対症療法的なアプローチしかできないような気がしてならない。さらに日本社会も国際結婚などが進み、外国のルーツを持った人も確実に増えてきている。それに伴い「部活」をはじめ、スポーツの現場もリアルに多様性が進んできているはずだ。

 そういう状況を考えると、スポーツが持つ平等、公平、敬意、寛容といった価値を積極的に展開すべきだろう。ドイツでも外国系市民との社会統合はまだまだ途上だが、「社会のなかのスポーツ」という、より広い視野での議論が必要だということはうかがえる。

ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 日本野球の今そこにある危機
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 買わない生活
  • 映画界のキーパーソンに直撃
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
大乱世の思想ガイド<br>マルクスvs.ケインズ

戦後社会の信念とイデオロギーが崩れ落ちる今、危機を乗り越えるための思想が必要です。脱経済成長を旗印に支持を広げる新マルクス主義とコロナ禍で完全復活したケインズ主義を軸に、大思想家が残した知恵を学び直します。

東洋経済education×ICT