「合わない」時は、変わればいい 第7回 地域密着を超えた存在のスポーツ

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自治体の健康スポーツプロジェクトの一つ

ドイツでいじめや体罰がおこりにくい理由のひとつは、スポーツクラブによって地域密着の多様な人間関係がベースにあることだ。これが勝利至上主義とは一線を画す「幅広いスポーツ」実現のカギでもある。ただドイツの町を見ると、地域密着というよりも、圧倒的な量と層の厚さの「スポーツ分野」そのものが町の重要な一部分であることがわかる。

入部前のリサーチをする親

人生ままならないことが多い。学校では年度が変わるとクラス替えがあり、「いい先生なんだが、あわない」「これまで仲がよかったクラスメイトが別のクラスになってしまった」といったことがしばしばおこる。

 日本の学校内の部活もそうである。どのような先輩がいるのか、指導者である顧問の先生はどのような人物なのか。入部前には噂なども含む「事前のリサーチ」をする生徒やその親もいるであろう。が、それでも蓋をあけてみたら「こんなはずではなかった」ということもある。

 こういう場合、スポーツ(部活)と学業を一体化している日本の学校システムは大変だ。例えば入部した野球部が自分に「合わない」場合、学校には野球部はひとつしかなく基本的に選択肢はない。所属クラブを変えてみる(=競技を変えてみる)、あるいは転校という選択もあるだろうが、当然のことながらかなり煩わしい。

 ドイツでも「合う」「合わない」は出てくる。ただドイツの場合、第3回でも述べたように、学校とスポーツが分離しているのが特徴だ。学校の基本設計は午前中でおわり。もちろん中高生に相当する年齢の場合、午後から授業もある曜日もあるが、スポーツは学校とは別の組織であるスポーツクラブで行うのが一般的だ。

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