ドイツのスポーツにはいじめや体罰が生じにくい。その理由を一言でいえば、スポーツ文化にある。これまで日本のスポーツ文化「体育会系」と比べながらその構造を明らかにしてきたが、今回は「飲み会」から紐解いてみよう。
日本では21世紀の今でも一気飲み
ドイツのスポーツ文化は「スポーツクラブ」といっても過言ではない。クラブとは今の日本でいえばNPOのような法人なのだが、19世紀からの歴史があり、数もかなり多い。ここでは、いじめや体罰が起こりにくい構造がいろいろ見いだせるのだが、そのひとつが「飲み会」である。
いうまでもなく、「飲み会」は日本でもある。だが、たとえばドイツからやってきた「ガイジンさん」は日本社会で戸惑うことが時々あって、飲み会のお酌などはその一例。「ドイツ人なら当然ビールでしょ」などといわれながら、まだ飲み終わらないグラスに「まあ、どうぞ、どうぞ」とビールがつがれる。ドイツのビールの飲み方は日本の「生中(なまちゅう)」方式で、相互についだり、つがれたりすることなく、自分のグラスやジョッキーで飲むのが基本、随分異なる。
昭和的なイメージでいえば、日本の飲み会には立場や年齢が上の人へお酌をし、その返杯というのがセットになった「お酌カルチャー」がある。このスタイルが「体育会系」でひどい展開がなされると醜悪な飲み会になる。先輩にお酌をし、「俺の酒が飲めないのか」と、返杯を無理強いされたり、はては愚かな一気飲み。この一気飲みは21世紀の今日でも続いていており、しかも「拒否すると場がしらける」と考える人もまだまだいるようだ。日本の体育会系カルチャーの根強さが浮かんでくる。
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