第3回 ドイツの学校には部活がない?

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 ドイツのスポーツの現場を見ると、構造的にいじめや体罰がおこりにくい。それは学校とスポーツの関係が日独で異なる点があげられる。

1歳ちがえば先輩・後輩

ドイツ人の知人から「日本の子供たちもスポーツクラブに行くの?」という質問を受けたことがあるが、何しろ日独かなり異なる。それで日本のスポーツ文化そのものを説明しなければならなくなった。 
  日本のスポーツ文化は「体育会系」と呼ばれるもので、特徴をあげれば、(1)試合重視の傾向が強く、(2)年齢による上下の序列があり、(3)トレーナー(先生)の権威が大きい。もちろんこういう環境のなかでもうまくいけば楽しくスポーツができるだろうが、たぶんドイツに比べると人間関係の緊張感が強いスポーツ文化だと思う、と説明した。

この3つの特徴のうち、年齢による序列について見ると、中学校や高校といえば、たった1年の差で、先輩・後輩という序列ができる。
 もちろん校風によっては、この序列も「一応」というだけで、異なる学年の生徒たちが一緒に楽しそうに毎日を過ごしていることもあるが、スポーツにおけるいじめといえば、その多くは学校の部活でおこり、学年の序列が関係しているのではないだろうか。

これはマンガ作品でも確認できる。いわゆるスポ根モノで学校が舞台になった作品を見ると、先輩・後輩の序列は当然のように設定されていて、先輩から体育館の裏に呼び出されて暴力を受けるといったシーンも散見される。
 野球を題材にしたベストセラー児童文学の映画「バッテリー」(2007年 監督:滝田洋二郎 原作:あさの あつこ)でも、才能あるピッチャーの主人公が中学校で先輩から陰湿ないじめを受けるシーンがある。

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