第4回 タメ口だらけのドイツ・スポーツクラブ
柔道でもフラットな関係

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スポーツクラブで重視される人間関係は「平等性」。年齢序列のある日本スポーツとはまるで逆だ。
 今回はメンバー同士が「俺」と「おまえ」という呼び方をするドイツのスポーツクラブ文化を紹介する。これが緊張感の強い人間関係が生まれにくい構造を作っているのかもしれない。

年齢の序列をつくる体育会系

ドイツと比較すると、構造的に日本のスポーツはタコツボ型の閉鎖的環境にあると、前回分析した。その閉じられた環境で「体育会系」は先輩・後輩の年齢序列を生み出す。

 だが、これはなにも学校の部活のみばかりではない。このところヤンキーの世界も変化がおこっているようだが、ヤンキーは基本的に年齢序列の体育会系気質といわれる。それは日本企業でもそうであったし、霞ヶ関の官僚の世界も体育会系だと聞く。

 日本の中世、南北朝時代、ド派手な格好で粋で無遠慮な言動を好んだ「ばさら大名」とよばれる侍たちがいたが、とりわけ昔日のヤンキーは「ばさら化」した体育会系。官僚は体育会系がエリート化したかたちだろうか。体育会系の特徴のひとつ、年齢の序列は日本社会の組織やグループにおける秩序の土台部分ということがいえそうだ。

 さらにわれわれが使っている言葉に着目すると、日本語の二人称には、あなた、君、おまえ、てめぇ、お宅、などバリエーションが多く、そもそも年齢など相手との関係を明確にする役割がある。

次ページ「われわれには<おまえ>と呼び合う文化がある」
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