第2回 ドイツのサッカークラブ、始まりは体操だった?

前回は日本のスポーツ文化が「体育会系」であるのに対して、ドイツは「スポーツクラブ」であると紹介した。今回は日本でも馴染みのあるサッカーからドイツの「スポーツクラブ」文化の一端を見てみよう。

むしろ「愛郷心」の中にサッカーチームがある

工事現場の巨大なクレーンの黄色い腕がゆっくりと回転する。そのてっぺんには旗がたなびいている。サッカーチーム「1.FCニュルンベルク」の旗である。この工事現場はニュルンベルク市近郊の町での様子。クレーンを動かしている建設会社には猛烈なファンがいるのだろう。

同地域の中学生に相当する生徒が、ふとこぼす。
 「クラスメイトたちは好きなサッカーチームはまちまちだけど、先生たちは1.FCニュルンベルクのファンが多いかな。その中でもラテン語の先生は強烈。カバンや腕時計などニュルンベルクのグッズで揃えてる。ただね、この先生、1.FCニュルンベルクが試合に負けた次の日は機嫌が悪いんだ」
 そういって肩をすくめる。

そもそもドイツは地元に対する愛着が歴史的に深い。日本でも地元愛はあるが、ドイツの場合、政治の議論にもなるほか、昔から各地で必ずといってよいほど郷土保護のNPOや町の歴史アーカイブがあるなど、具体的なアクションや組織として展開される。それらは日本からはちょっと想像できないぐらい重厚だ。

地元との結びつきはユニフォームからもうかがえる。1.FCニュルンベルクのチーム名、スポンサーのロゴのほかに、さり気なくニュルンベルク周辺地域をさすフランケン地方とニュルンベルク市の歴史的紋章があしらわれており、「フランケン(地方)はかのチームの後ろに立って(応援して)いる」と書かれている。
 ニュルンベルクのお隣、フュルト市にも現在ブンデスリーガ2部の「グロイター・フュルト」がある。2007年に同市は1000年の記念年を迎えたが、それにあわせて町の歴史的人物たちを登場させ、歌あり踊りありというレビュー作品が上演された。
 同市近郊にはプラスティック製の人形シリーズ「プレイモービル」の本社があるが、同チームのユニフォーム仕様のプレイモービル人形に扮した俳優たちが、作品の中核にある愛郷心をもりたてた。蛇足ながら同チームのユニフォームには同市のシンボルマークのクローバーと町のシルエット、1903年という設立年がしっかりデザインされている。

またバイエルン州内をカバーするあるFMラジオ局は愛郷心をテーマにした短いオリジナルソングを流す。
 「われわれはバイエルンを愛している」という楽曲では途中でラップを織り込んだ、元気なポップソングに仕上がっている。歌詞は方言を交えながらバイエルンの自然のよさや、州内を拠点にしているBMWやアウディ社など地元の有名企業名が並び、「なんたって一番クールな州さ」とくる。
 ラップの部分ではサッカーチームが登場。「われわれにはFCバイエルンがある、FCアウグスブルクがある、FCニュルンベルクがある」と勢い良く並ぶ。いずれも同州内にあるブンデスリーガ1部のチームだ。

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