「合わない」時は、変わればいい 第7回 地域密着を超えた存在のスポーツ

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ドイツ型は選択肢が多い

ドイツの地方を見るとスポーツクラブはかなりある。たとえば筆者が住むエアランゲン市(バイエルン州)の都市を見てみよう。人口は10万人、日本ではざらにある人口規模であるが、こんな町に100程度のスポーツクラブがあるのだ。

 これだけ多いと、メンバーになってみたクラブが自分に合わない場合も、別のクラブに変われば問題ないわけだ。市内のみならず、周辺の自治体にまで視野を広げると選択肢の数はけっこうなものになる。ただし、クラブの練習場所が自宅から遠くなると親が「タクシー業務」をしなければならないことも出てくる。

 蛇足だが筆者はスポーツ関係の専門会議の取材中、コーヒーブレークで数人の参加者とテーブルを囲み、「ドイツのスポーツクラブに対する関心が日本で高い」と述べたことがある。すると一同「えっ、どうして?」とかえってきた。スポーツクラブはすでにドイツ社会で当たり前のもの。なぜ今さら外国で評価されるのかが彼らにはピンとこないのだ。日本の学校は学業とスポーツ(部活)がまとまっているという話をすると、逆に羨ましがられ「ドイツでは送り迎えが大変(親にとってスポーツクラブは負担がかかる)」という愚痴が出てきた。隣の芝生は青く見えるものである。

 それにしても学校とは別に地域にスポーツクラブが充実すると、選択肢が増えるといえる。しかし「充実している」、というのは単に数が多いというだけなのだろうか。同市の場合を見てみよう。

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