節約志向で「安い食品ばかり買う」人の重大盲点 「節約の達人」に欠けている「大事な視点」は?

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以下は、一般的によく売られている「業務用のチキンナゲット」の原材料の一例です。Aさんが日ごろ買っている製品とかなり似通っていると思います。

鶏肉(国産)、大豆たんぱく、しょうゆ、衣(小麦粉、コーンフラワー、でん粉、食塩、脱脂粉乳、ぶどう糖、香辛料)、デキストリンチキンエキス、揚げ油(パーム油)、加工でんぷん調味料(アミノ酸等)リン酸Na増粘多糖類着色料(カロチノイド)甘味料(スクラロース)

まず、安く作るためには、安い鶏肉を仕入れます。たとえば廃鶏といって卵を産まなくなった鶏の肉は非常に安く仕入れることができるので、廃鶏が使われることも多くあります。

ただ、廃鶏の肉は固いので、チョッパーでミンチ状にし、そこに「大豆タンパク」を加えてソフト感を出します。「大豆タンパク」はかさ増し(増量)にもなります。

廃鶏という、もともと味が落ちる肉を使っているうえに、「大豆タンパク」でかさ増しをしているため、味が足りません。そこで「チキンエキス」「調味料(アミノ酸等)」「甘味料」を使って、しっかりと味を付けます

色も着色料で、オレンジ色を付けておいしそうに見せます。また、このままでは形がドロドロなので、「加工でん粉」「リン酸Na」「増粘多糖類」を使って形をまとめます

これで子どもが喜ぶ、おいしい「チキンナゲット」の完成です。ちなみに業務用の「ハンバーグ」「ミートボール」もこれに準じた作り方でできます。

「添加物=台所にないもの」と考える

私は常々、添加物には「5つの働き」があると説明しています。

【1】安い(増量、置き換え、フェイク・もどき食品で単価が下がる)
【2】簡単(調理の面倒くささを解決する)
【3】便利(保存性と今すぐほしいという要求を同時に満たす)
【4】きれい(見た目を美しくする)
【5】オイシイ(素材本来の「おいしさ」ではなく、化学的な濃い味)

詳しいことは拙著『食品の裏側』をお読みいただきたいのですが、この中でも特に「安さ」については添加物の果たす役割は非常に大きいのです。

『食品の裏側』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

このチキンナゲットも「5つの添加物の恩恵」にしっかり浴しています。

まぜものをすることでかさが増え、添加物の力で、素材が悪くてもおいしく仕立てることができる。見た目もキレイ。だから安く販売できるのです。

チキンナゲットは自分で鶏肉を買ってきて、衣をつけて揚げれば、添加物はゼロでつくることができるはずです。

品質、添加物をまったく無視したところで、手作りと業務用を比べて「業務用のほうがはるかに安上がり」というのはちょっと違うのではないでしょうか。

安いものには「理由」があります。その「カラクリ」を考えず、「裏側」を知らずに、「安い」というだけで飛びついて買う、その消費行動を私は問題視したいのです。

たんに「安さ」だけを見て食品を買う、そういう「節約術」で本当にいいのでしょうか

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