ヒロシ「キャンプ飯にコンビニ弁当」堂々と選ぶ訳 やたらと多い「べき論」について言いたいこと

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確かに都会で足が濡れているだけなら不快感しかないだろう。一刻も早く靴下を脱いで洗濯機に入れたい。

「そうでしょう。すぐにタオルで拭けばいいんだけど、焚き火であえて靴下を温めて蒸発するのを待ってる時間とか、そんなことも楽しいんですよね。もちろん時と場合によりますけど」

『そのときの気分でやればいいんじゃない? 火のつけ方なんて、いろいろあるんだからさ。(4日)』

 

「好きにやればいいんですよ」と語るヒロシさん(撮影:尾形文繁)

キャンプはこうあるべき、といった“べき論”は不要だとするヒロシさん。焚き火の仕方もキャンプ飯も、毎回そのときの気分で決めるそうだ。

「焚き火も、火打ち石でつけてみたいと思ったから、練習して現地で実践したりするわけですよ。僕は適当だから、気分によってはライターも使うし、キャンプ飯だってこだわりはない。

よく、“キャンプに行ったらこんなものを食え!”みたいなのあるけど、形を決めたがる人が多いよね。僕は、鉄板で冷凍餃子を焼くときもあれば、コンビニ弁当を買ってくときもありますから。好きにやればいいんですよ」

作りたければ作る。そうじゃなければ作らない。常に答えはシンプルだ。

やらないのは、それまでの人だから

一方、キャンプに足踏みしている人は、道具を1個1個揃えて、食材を準備して、地図で道を調べて車で遠出して……といった一連の作業に挫折するという声も時々聞く。

「それはそこまでの人なんじゃないですか。だって、今日取材に来ているカメラマンさんもそうですよ。カメラマンってカッコいいし憧れるじゃないですか。それでNikonとか高いレンズや機材を買って、大して扱えないまま終わる人もいっぱいいますよね。それはそれ止まり。でも今プロで活躍しているカメラマンさんたちは、そこを乗り越えて、お金稼ぐところまで来ているはず。何でもそう。ギターを買っても途中で手放す人もいるし。結局興味があるかどうかです」

『“みんなで”という、装備を置くことが、最大の軽量化。(12日)』

 

では、ヒロシさんはキャンプの大変さも込みで楽しんでいるのだろうか。

「僕も、気分によっては面倒くさいと思うときは装備を減らすしマチマチですね。それよりも、結局一番メンドクサイのは人ですよ。人がいると、途中でトイレ行きたいだの、何買いたいだの、そんなもの買うの?とか、ああだこうだ言われるのが嫌で、ソロキャンプやってますから」

人がいるとペースが乱れる。いろいろな煩わしさから解放されるための、あえてのソロキャンプだ。

しかし、ソロキャンプ仲間との交流は、別だ。各々が勝手に来て勝手に帰る。好きなものを、好きなタイミングで好きなだけ食べる。無理にテンションを上げる必要もなければ、調理や設営の分担でまごつくこともない。一人一人がソロキャンパーとして自立しており、ソロで過ごす感覚を共有できているから、よい関係性を保てているそうだ。相手の領域に過剰に立ち入らず、程よい距離感。人付き合いの相性は、距離感の相性なのかもしれない。

また、大勢で行くキャンプについては、こんな訴えも続く。

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