――そしてその第1弾に選ばれたのが『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』となるわけでしょうか。
それと中国映画の『唐人街探偵 東京MISSION』の2作品が2019年度の調査対象になります。『TOKYO VICE』は次の年の対象作品です。結構、日本で撮りたいという企画を持ってらっしゃる制作の方は多いんですが、コロナ禍で、なかなか誘致ができない状況になっています。そもそも(外国人スタッフ、キャストの)入国が大変なので。そこはちょっと厳しいところではありますが。
――内閣府の「外国映像作品ロケ誘致に関する実証調査」が『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』に決まったことで。日本ロケに変化はあったのですか。
もともと日本で撮影できないかということで、今回の事業がスタートする半年以上前から、制作の方々はロケハンを行っていました。ただ実際に撮影ができるのか、インセンティブがないならもっと規模を少なくしなくてはいけないのかなど、何ができるのかを見極めながらロケハンをやっていたという形です。
だから私たちからするといいタイミングだったなと思います。政府側としても、こういう調査事業をやるとしても、実際に対象になる作品はあるのか? という不安はありましたから。現状、こんな話が来てますよ、という情報を提示しつつ。ただどうなるかまだわかりませんよという状態の中で進んでいった感じですね。
結果的には、「外国映像作品ロケ誘致に関する実証調査」に決まったことで、撮影のボリュームも増やしていただきましたし、実際のロケの日数やロケ場所も増えたと思います。
ハリウッド映画は撮影スケールが違う
―――実際に撮影をしてみていかがでしたか。
すごくいい画になったと。満足いくロケーションで思うように撮れたみたいです。そしてこれが良い悪いではないんですが、地元の方々も純粋にハリウッド映画というのはこんなにスケールが大きいのかという印象を皆さん持たれたみたいで。例えば大阪の京橋だと、商店街全体の人出を止めたんですよね。たくさんの飲食店がある繁華街ですが、そこにしっかり営業保証をしたんです。
なかなか日本の作品の予算規模では難しいと思うんですけど、やっぱり保証があると地域の皆さんはすべてにおいて協力してくださるんです。お店は開けて、でもお客さんは断って営業しないで撮影に協力してくれるとか。地域の方々はそういう規模の違いは実感したみたいですね。地域フィルムコミッションの経験としても、こういうこともできるんだ、となって地域の協力が得やすくなると次につながっていくのかなと思っています。
――『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』や『ブラックパンサー』といったマーベル作品は韓国でもロケが行われました。近隣だと韓国が海外作品の誘致をしている印象なのですが、はたから見ていかがですか。
私たちも海外のフィルムコミッションのネットワークがあって、韓国の方ともよくやりとりをしています。特に、釜山フィルムコミッションは、AFCNet(アジアフィルムコミッションネットワーク)の事務局も担っているのですが、組織の規模が、予算も含めてまったく違います。やはり韓国は国策でエンターテインメント全般に力を入れているので、フィルムコミッションに関してもいち早く世界を視野に動いていました。
釜山には国が支援して建てられた、ポスプロ(ポストプロダクション=撮影後の編集などの仕上げ作業)のスタジオがあるんですが、運営は地域がやっていて、そのスタジオの利用にインセンティブをつけて、海外作品のポスプロを誘致しています。日本の作品も、このスタジオでポスプロが行われたこともあります。これは、地域の人材育成にもなっており、やはり国策として動いているのは強いなと思います。だから日本も何もしなければ、いいものはどんどん外に出て行ってしまうと感じています。
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