細田守がネット世界を「肯定」し続ける端的な理由 「竜とそばかすの姫」仮想世界で描く自由と恐怖
ネットの持つ意味合いが変わった
――2009年に公開された『サマーウォーズ』では、<OZ(オズ)>という仮想世界が舞台でした。本作で再び仮想世界を描いたのはなぜですか。
僕はこれまで、約10年おきにインターネットを舞台にした作品を作ってきた。『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』は2000年、『サマーウォーズ』は2009年、そして本作。10年おきに見ていくと、そのときどきでインターネットの持つ意味合いが大きく変わっている。
20年前の『デジモン』の時代のインターネットは、一部の若い人が世界を変えていくための新しいツールだった。
その10年後の『サマーウォーズ』は、ちょうどiPhoneが出てきた時代。子どもからお年寄りまでネットに触れるようになる中で、そこに希望が持てるように、という思いを込めて作った。グローバルで自由なインターネットと、人間関係でがんじがらめになった田舎の親戚。正反対なものを掛け合わせてみたら面白くなるはず、とも考えた。
そこからさらに10年経った今、インターネットといわれて多くの人が連想するのは、誹謗中傷ですよ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら