――内閣府が「外国映像作品ロケ誘致に関する実証調査」を行い、『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』が対象作品となったのはどういう経緯なのか教えてください。
もともとは2016年に、「映画の振興施策に関する検討会議」という大手映画会社、テレビ局のトップなど映像関係の方々、そして関係省庁とジャパン・フィルムコミッションが地域側として参加をした会議がありました。
その後、年度を越えてからはロケ撮影を検討する「ロケ撮影の環境改善に関する官民連絡会議」が新たにスタートし、これは現在も継続中です。内閣府が主導して、関係省庁と、業界の関係者の方々と私どもが参加をして、日本で何が必要なのかということをずっと検討しています。
そこでは制作側が感じる課題や、それに対して「地域や国ではこういう対策をとっています」、といったことを照らし合わせています。内閣府のサイトを見ていただければ、中間報告も出てくるので、詳しいことはそちらを参照していただきたいのですが、実際には制作の方たちが感じている課題に対しては、意外と政府もいろんな対策を組んでいるんです。
警察庁も非常に協力的で、私どもが毎年行っているフィルムコミッションの新人研修などにも、警察庁の方が設立時からちゃんと講師として来てくださって。勉強会もやっています。
フィルムコミッションができてから、その地域が関わってる作品に関してはちゃんと各所轄で相談にのるようにという警察庁からの通達が出ており、撮影ができるような形で進めてくださっています。だから地域の警察もだいぶ理解をしていただけるようになっているんですが、どうしてもできる事例よりも、できなかった事例のほうがイメージとしては先行してしまいます。
だから、制作の方々も、究極を言えば、なんでいまだに渋谷のスクランブル交差点を封鎖できないんだと言う人もいますが、逆に、渋谷を通る立場で考えると、封鎖は無理だよねとなるんです。ただ、本当はできることはあるかもしれない。それは、それぞれが可能性を追求する必要がある。お互いの要求や条件だけを出しても難しいと思います。そういう相互理解がなかなかできていなかったんですが、この「官民連絡会議」が、そうした相互理解を深める場にだいぶなってきたと思っています。
政府も規制緩和に動いている
――以前に比べるとだいぶ相互理解が広がっているということですね。
規制緩和とかそういう面に関してはだいぶ政府も動いていますが、インセンティブはできていない。制作の方からは国内の作品をもっと支援してほしいと言われるんですが、国内の映画や海外との共同製作に関しては文化庁が支援を行っています。ですから国内作品の支援に関してはそうした制度を活用していただきたいのですが、海外の大型作品に対するインセンティブはないままです。そこで、どんな効果があるのか実証調査をやりましょうという話になり、地域でロケ撮影を支援する側としてJFCが参画することになりました。
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