故人が残したブログやSNSページ。生前に残された最後の投稿に遺族や知人、ファンが“墓参り”して何年も追悼する。なかには数万件のコメントが書き込まれている例もある。ただ、残された側からすると、故人のサイトは戸惑いの対象になることもある。
故人のサイトとどう向き合うのが正解なのか? 簡単には答えが出せない問題だが、先人の事例から何かをつかむことはできるだろう。具体的な事例を紹介しながら追っていく連載の第13回。
「それでもきっとバッチは空手とベースをやるのでしょう」
<また1年生き延びた
転移癌は脳10コかな、
骨は8ヶ所かな、もう把握できない
抗がん剤3種類と別に飲み薬14種3万分
癌にむしばまれた骨は折れやすく
折れたら治らないのですって
それでもきっとバッチは
空手とベースをやるのでしょう
生きてる
活きたい。
皆は活きてる?>
(2020年12月7日 Twitter/twitter.com/bacchi1208/status/1335811503295885312)
転移癌は脳10コかな、
骨は8ヶ所かな、もう把握できない
抗がん剤3種類と別に飲み薬14種3万分
癌にむしばまれた骨は折れやすく
折れたら治らないのですって
それでもきっとバッチは
空手とベースをやるのでしょう
生きてる
活きたい。
皆は活きてる?>
(2020年12月7日 Twitter/twitter.com/bacchi1208/status/1335811503295885312)
死にいたる大病を患った後、元気な頃から更新していたブログやSNSが闘病ブログや闘病SNSの様相を呈するようになるのは自然な流れだ。その流れを避けるために、最後まで病状を伏せるケースもよく見かける。では、第三の道として、病状を明かしながらも闘病の気配に覆われない更新はできるのだろうか。
ロックバンド・こけしDollのベーシストで空手家の中鉢優香(通称“バッチ”)さんが2021年4月2日に亡くなった。2017年の夏にがんの告知を受けた後も病気と闘いながら空手道とバンドを精力的に続け、その足跡はInstagramやTwitter、FacebookなどのSNSに克明に残されている。
このすべてのSNSにおいて、中鉢さんは“第三の道”を模索していたように映る。病気に心身が冒され命の限界が近づくなかで、インターネットにおける普段の自分をどれだけ保てるのか。中鉢さんのSNSやブログを時系列で追いかけると見えてくるものがある。
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