享年37歳空手家ベーシストの彼女が遺した生き様 33歳でがん告知、SNSやブログに刻み続けた

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2019年5月、意識不明になり緊急搬送される。ここにも「意思があつて文が打てるうちに」と必死の投稿を残している。

「意思があつて文が打てるうちに。」

<ごめんなさい容態が急変して緊急搬送でまた入院しちゃった。今回の麻痺と痙攣は全身と呼吸器にも影響及び繰り返し意識も飛んで死ぬ感覚がした
 今は救急病棟で意識を取り戻し呼吸も出来きて麻痺も今は落ち着いています。‬ 意思があつて文が打てるうちに。
 箇条書きな報告ごめんね
 去年なくなった義兄が来ていたので、
 必ず北海道へ挨拶へ行きます‬、‪と約束した‬‬
 守る為にもう少し頑張らなきゃ。
 何事も気持ちを強くですね>
(2019年5月4日 Instagram/https://www.instagram.com/p/BxArb--pdom/

「死ぬより発作と麻痺が怖い」「入院中も幾度と発作が起きてもう殺してくれと願った」と珍しく弱音を残すほどの状況。

2019年10月、病室にて(ゾニーさん提供)

一度は回復したものの、6月に激しい痙攣発作を起こして再び緊急搬送される。転移した脳腫瘍は4つあり、最も大きなものはトマト大に成長していた。すべて取り出し、再発を抑える放射線治療に入る。‬

短い単語も記憶できない状況で、メールの返信も長く時間をかけなければならなかった。それでも「しんどいけど幸せです」と明るい投稿を続けて9月に退院。しかし、11月に再発し、再び入院生活に入る。転移は脳に6箇所、骨に3箇所見つかった。

<ごめん皆、正直言って
 ベース弾くよりも先に空手がしたいです。心身立ち直ればきっとベースも弾けるのですよ
 気合いではどうにもならないけど
 気力があれば下手でも気迫は出る
 それは伝わると信じてる
 頑張るから
 皆も頑張ってる自分をたまには自分で認めてあげたらどうでしょう>
(2019年11月14日 Twitter/https://twitter.com/bacchi1208/status/1194812587549978629

四肢の麻痺や失語症などの症状が現れ、会話もままならない状態が続く。年が明けた2月には街で歩行中に痙攣が発症し、ガソリンスタンドのスタッフや客に助けてもらった。最初に脳腫瘍が見つかったときに言われた余命の最短期間の10カ月は過ぎている。かねてから進行が非常に早いがんだとも説明を受けている。

そんななか、ロックバンド・KING BROTHERSのドラマーであるゾニーさんと結婚する。

<【ご報告】この度、KING BROTHERSゾニーさんと結婚致しました。私は予後不良と、ご心配ばかりおかけして申し訳ございません。
 不安で大変な最中も必ず幸せはあります。皆さんも笑顔で過ごしてるといいな、ご自愛下さい。 ※半年前は車椅子だったのに奇跡が起きてますよ、余命更新中!>
(2020年4月26日 Instagram/https://www.instagram.com/p/B_cJRJqpxtZ/

交際が始まったのは前述の意識不明で緊急搬送された後のこと。意識不明や心肺停止になった後の希望を事前に文書(リビング・ウィル)にしたためながら、ボクシングジムに通うゾニーさんと異種格闘技スパークリングを楽しむ新婚生活。「やりたい事は今のうちに」の精神は折れなかった。

ゾニーさんとの結婚報告。InstagramとTwitter、Facebookにアップした
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