享年37歳空手家ベーシストの彼女が遺した生き様 33歳でがん告知、SNSやブログに刻み続けた

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「どうしてもやりたい事」はゾニーさんにだけ明かしていた。空手道の大会に再び出場することが望みだった。わなかったが、最後まで実現を信じていたに違いない。そう思わせる生き様が中鉢さんのTwitterやInstagramには残されている。そして、それこそが闘病の気配だけに覆われない“第三の道”を示しているように思えた。

「常に笑顔」

亡くなった翌日、残されたTwitterとInstagramにゾニーさんが訃報を載せた。

<バッチこと中鉢優香は4/2 21:10に永眠しました。きつい闘病に比べてとても安らかな逝き方でした。皆様バッチを愛してくれてありがとうございました。>
(2021年4月3日 Twitter/https://twitter.com/bacchi1208/status/1378008721159192580

その後、Twitterに両親による葬儀の報告がアップされ、そこで更新が止まっている。Instagramも遺族による葬儀情報の更新が最後だ。Facebookは友人からの追悼投稿がいくつもアップされているが、アカウント自体は追悼モード(追悼アカウント)にならず、生前のままの状態が保たれている。ブログも含めて、遺族はすべてそのまま残しておく意向だという。

SNSでの中鉢さんと現実の中鉢さんにはどんな違いがあったのだろうか。やぼを承知でゾニーさんに尋ねた。

中鉢さんの手帳(ゾニーさん提供)

「確かにバッチはSNSでは弱みを見せませんでした。自分がベーシスト、空手家で人に見られることをしっかり意識していて周りに愛情を持ってSNSしてました。普段の彼女は綺麗だけど甘えん坊で可愛くて空手や音楽になると自分に厳しく最高の女性でした。僕は彼女に出会って幸せでした。彼女も幸せだったと確信しております。そんな最高の女性と過ごせたこと、そして最後を看取れて僕は幸せ者です」

その回答とともに添付してもらったメモ帳には、並大抵でない説得力が宿っているように思えた。

古田 雄介 フリーランスライター

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ふるた ゆうすけ / Yusuke Furuta

1977年生まれ。元葬儀業のライターで、キャリアは15年。デジタル遺品や死後のインターネットコンテンツの行方などを追っている。著書に『故人サイト』(社会評論社)、『中の人』(KADOKAWA)など。

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