「差額ベッド代」はいくらあれば足りるのか 医療保険「1日1万円の入院給付金」の妥当性
「もし病気で入院することになったら、いったいどのくらいのおカネが必要になるのだろう?」
漠然とではあっても、万が一の事態を想像したことのある人は少なくないだろう。入院中の費用で最も負担が大きいのが「差額ベッド代」だ。個室や少人数の部屋など特別な療養環境を求めると、その部屋代金は公的保険の対象外で別途請求され(感染のおそれがあるなど医師に個室を指示された場合を除く)、全額自己負担になる。これが差額ベッド代である。
「大部屋よりも個室を」というセールストーク
医療保険で入院給付金を「日額1万円」や「日額5000円」で掛けておくのは、この差額ベッド代を賄うことを想定してのことだ。「大部屋だと、『隣の人のいびきがうるさくて眠れない』なんてことがあります。できれば個室がいいですよね」。ある保険ショップではこんな説明を受け、日額1万円程度の保障があったほうがよいと勧められた。
差額ベッド代は一般的に1人部屋がもっとも高く、2~4人部屋なら安くなる。厚生労働省・中央社会保険医療協議会のデータ(2012年7月末時点)によれば、1日当たり平均額は5820円だ。一方、病院や部屋によっては、かなりばらつきもある。
もっとも高い差額ベッド代はなんと1日36万7500円(12年時点、消費税5%込み)。まるで海外の要人が泊まる超高級ホテルのスイートルームのような金額設定なのである。
これは福岡県北九州市にある小倉記念病院の特別室の1つである。「メディカルツーリズム(居住地とは異なる国や地域で医療サービスを受けること)を推進する一環として、2010年の新築移転に伴って設置された」(同院広報)という。
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