フランスで医療保険が売れない理由 日本人は保険に入りすぎなのか
経済格差を取り上げた著書『21世紀の資本論』が世界中で反響を呼んでいるトマ・ピケティ教授に会う(週刊東洋経済7月26日号「中間層への警告」にインタビュー記事を掲載)ため、フランスの首都パリに数日間滞在していた時のこと。日本にいる副編集長からメールが届いた。
「8月に保険特集をやる。フランスの保険事情を探ってきてくれ」。
「相変わらず、無茶ぶりだなぁ……」と思ったが、運良く再保険(保険会社が加入する保険)大手、スイス・リーのパリ支社で話を聞くことができた。オペラ座から徒歩15分ほどの場所にある、まるで美術館のようなおしゃれな建物だ。
フランスは保険の銀行窓販「先進国」
実はフランスでは、保険の約6割が銀行で売られている。日本では2007年に保険の銀行窓販が全面解禁されたが、フランスでは1970年代に開始。日本よりもはるかに長い歴史を持つ。
実際、パリの街を歩くと、銀行の看板に「assurance(保険)」の文字が書かれているのをしばしば目にする。この銀行の保険窓販は「銀行(banque)」と組み合わせた造語で「バンカシュランス(bancassurance)」と呼ばれる。
フランスの銀行で売られているのは貯蓄性の保険だ。死亡保険・医療保険など、万一に備えるための保障性の保険はマイナーな存在で、保険代理店など別の販売ルートで売られている。
「フランスでは保険を貯蓄と結びつけて考えるのが一般的」と、スイス・リーのライフ&ヘルス担当・ピエール-イヴ・ル・コール氏は話す。「死亡保障などの保障がついている貯蓄性の保険というものは、ほとんどない」(同)。
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