フランスで医療保険が売れない理由 日本人は保険に入りすぎなのか

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「フランスでバンカシュランスが主流なのは、驚くべきことではない。銀行の取り扱う貯蓄商品の一部が、フランスでは『保険』と呼ばれているだけのこと」と海外の保険事情に詳しい国内生保OBは解説する。

日本人は月10万円以上の保険料を払う人も

一方、日本人は生命保険や医療保険、がん保険などをいくつも加入している人が少なくない。月10万円を超える保険料を払っているような人もいる。

そこでル・コール氏に尋ねてみた。「日本では保険に入りすぎている人がいます。フランスでも同じようなことは起こっていますか」。すると、ル・コール氏は首をかしげた。「あなたの言っている意味がよくわかりません。何が問題なのですか?消費者団体が怒っているのでしょうか?」

「日本では保険会社がテレビCMをたくさん流しています。それに影響されて、本当は必要でないのに、保険に入ろうと考える人もいるようです。『がん保険』も人気ですよ」。そう話すと、「テレビCMは、フランスでは主要なマーケティングツールではないですね。手紙や電子メールなどのダイレクトマーケティングが主流です」との答えだった。

さらに「フランスには『がん保険』はありません。民間の『医療保険』という商品もあまり普及していません。公的な医療保険が手厚いからです。がんのような重病の場合、そう認定されれば国が全額おカネを出してくれますよ」(ル・コール氏)ということだ。

「愛の証し」「社会人のたしなみ」――。日本では、こうした情緒的な言葉で表現されることも少なくない保険。ところがフランスでは、民間の保険はあくまでもドライな金融商品でしかないようだ。

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平松 さわみ 東洋経済 記者

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ひらまつ さわみ / Sawami Hiramatsu

週刊東洋経済編集部、市場経済部記者を経て、企業情報部記者

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