在宅で働く人が知らないと損する労務管理のツボ 中抜け時間、電気代負担、人事評価はどう扱う?
安田:会社によって取り扱いが違うのか。中抜け時間の取り扱いなど会社ごとのルールはどこで確認できるのですか?
まいこ先生:就業時間に関する取り扱いは基本的に就業規則に記載されているわ。就業規則は働く上での会社のルールが記載された書面で、10名以上の会社であれば作成と届出の義務があるの。「周知」といって、職場の見やすい場所に備えつけたり、書面で交付したり、社内のイントラネットなどに掲示していつでも見られるようにしておく必要があるから確認してみて。テレワーク時の中抜け時間については別途テレワーク規程に定められていることもあるから別規定があればあわせてチェックしてみてね。
安田:在宅勤務で通勤の負担が減るのは嬉しいけれど、家で仕事をすると通信費や水道光熱費が増えますよね。仕事のために使っているのでモヤモヤする人もいると思うのですが、社員が負担するものなのでしょうか?
まいこ先生:そうとも限らないわ。費用の負担は会社によって取り扱いが異なっていて、社員が負担するケースもあれば会社が負担するケースもあるの。厚生労働省のガイドラインにはテレワーク時の費用について、労使のどちらがどう負担するか、限度額や請求方法を話しあってルールを決めて、就業規則等に規定しておくのが望ましいとされているわ。法令上のルールとして、社員に負担をさせるなら就業規則を変更する必要があるわね。一般的には下記のような費用負担に関する規定があるはずだから確認してみて。
第〇条 会社が貸与する情報通信機器を利用する場合の通信費は会社負担とする。
2 在宅勤務に伴って発生する水道光熱費は、在宅勤務者の負担とする。
3 業務に必要な郵送費、事務用品費、消耗品費そのほか会社が認めた費用は会社負担とする。
4 そのほかの費用については、在宅勤務者の負担とする。
テレワーク手当などで補うケースも
安田:そうだったんだ!まずは規程をチェックですね。とはいえ、会社に負担してもらうとしたら、どこまでが勤務時間に使った分でどこからがプライベートで使った分か切り分けが難しいですよね。
まいこ先生:そうよね。細かく計算するのは大変だから「テレワーク手当」として、月額や日額で支給して業務負担相当分を補うケースもあるわ。月額5千円などの渡し切りのテレワーク手当にした場合は、社会保険料の算定や割増賃金の単価にも算入することになるよ。給与として課税する必要もあるから注意してね。
通信費や電気料金に関しては、業務に使用した分を所定の計算式で算出することで、一部非課税扱いにすることも認められているわ。国税庁の「在宅勤務にかかる費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」を参照してね。
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