賃金や資本装備率などを産業別に見ると、図表2のとおりだ。
製造業と非製造業を比較すると、あまり大きな差はないが、製造業がやや高めだ。
問題は、宿泊・飲食サービスなど対人サービス業における賃金が低いことだ。
ただし、これは、宿泊・飲食サービスでは、零細企業が多いためかもしれない。そこで、従業員数や付加価値において大企業が占める比率を産業別に見ると、図表3のとおりだ。
従業員数で見ても付加価値で見ても、製造業では大企業の占める比率が高いのに対して、非製造業では製造業より大企業の比率が低い。
そして、宿泊・飲食サービス業では、従業員数で見ても付加価値で見ても、大企業の比率がかなり低い。
したがって、産業別に資本装備率や一人あたり賃金の差が生じる基本的な原因は、大企業の比率が産業別に異なることだと考えることができる。
つまり、賃金格差をもたらしている基本的な原因は、企業規模の違いなのだ。
理論値との比較
以上で述べた観察結果を、理論モデルの結果と照合してみよう。
「コブ=ダグラス型」と呼ばれる生産関数を想定し、産出の労働弾力性をaとする。ここで、「産出の労働弾力性がaである」とは、労働力がx倍に増加したとき、付加価値生産額がxのa乗倍だけ増加することを意味する。
このモデルから、つぎの結論が得られる(証明略)。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら