有能でも「50歳を過ぎたら」転職できない納得事情 「求人はありません」と断れぬ人材紹介業の都合

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転職希望者は生年月日を含めた履歴書、職務経歴書のデータを人材紹介会社に提出する。転職希望者はこの段階で、デジタルデータとなる。だからエクセルのソート機能を使うように、簡単に「49歳以下」「30〜39歳」などとスクリーニングできるようになった。実に効率的だ。

しかし、そこに性格やキャラクターは反映されない。それは面談など次の段階で見られる。ひどい話である。こうして見えない年齢差別が横行しているわけだ。

加えて、人材紹介業は国の許可登録制となっている。勝手に人材紹介業をはじめてはいけないのだ。そのため、厳しい指導方針が厚生労働省から示されている。その代表が「求人希望者を断ってはならない」ことだ。

人材紹介業の門を叩く者があれば、必ず親身になって希望を聞かねばならない。自社に入ってくる求人情報を進んで案内しなければならない。これがすべてルールとして、指導方針として定められている。だから、人材紹介においては「残念ながら紹介できる仕事はありません」と言われることはないのだ。

日本の人材紹介業の矛盾点

では、なぜそんなルールがあるのか。人材紹介業は、間違った使われ方をすると、人身売買になりかねないからだ。

古来、奴隷商人や人買いというビジネスが日本を含めた世界中にあった。近代になると、人権が尊重されるようになり、人身売買は禁止となった。しかし、労働において必ず人手は必要になる。企業は人権を尊重したままフレキシブルに労働力としての人を集めることはできないか、というニーズを持っていた。そこで人材紹介業は、法律のもとで厳しく制限をされた形で設計されるようになったわけだ。

労働者から見たら、もちろん勤労の権利がある。

日本国憲法の第三章第27条に、「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ」とある。働きたい人は誰しも平等にその機会が与えられる権利を持っている。そして、働いて社会に貢献することはまた義務でもあるのだ。

もともとこの役目は国が手掛けていた。職業安定所、今のハローワークはそのためにある。また職業安定法によって規制され、ハローワーク以外の民間の人材紹介業はほとんど営むことができなかった。具体的には経営管理者や高度技術者のみ民間の人材紹介が許されていた。

大切な労働の権利と義務を担うため、また前述のように人身売買につながるため、というのがその理由である。

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