有能でも「50歳を過ぎたら」転職できない納得事情 「求人はありません」と断れぬ人材紹介業の都合
では、50代、60代はどうなのか? 残念ながら、需要はほとんどと言っていいほどない。
50代を過ぎたビジネスパーソンで、すばらしい実績の方はもちろん多い。スキルも知識も存分に持っている方も大勢いる。しかし逆に言うと、「完成されすぎている」のだ。
人は45歳を境に体力、気力、挑戦心が急激に衰えてくる。多少の時間差はあれど、「自然定年」と呼ぶ状況が必ず訪れる。50代となれば、伸びしろはほとんどない。いくらすばらしい実績とスキルを身につけていても、いつまでも実戦の場で最前線に立ってもらう強度がない。
プロ野球選手を思い出してもらいたい。新人の頃から大活躍。すばらしい成果を残し、守備もバッティングも走塁もバツグンな選手がいたとしよう。20代、30代前半までは常にレギュラーで活躍。試合での駆け引きを重ねることで、経験という武器まで手に入れてきた。しかし、30代後半になればプロ野球選手としての体力は衰える。
まして40代中頃まで活躍し続けられる人は稀だ。
あのイチロー選手ですら、45歳で引退したのは示唆的だ。イチロー選手はスキルも経験もすばらしいままで、その功績は今も残る。しかし、だからといって、今もマリナーズやヤンキースやオリックスは彼を一軍の選手として受け入れられるだろうか。誰しも「自然定年」には抗えないのだ。
あなたも、イチロー選手のように、それぞれの持ち場ですばらしい実績を上げてきたことはゆるぎない事実だろう。しかし、それが未来永劫続くことはない。少なくとも、企業があえて50代、60代を“選手登録”したいと思うことは少ない。繰り返そう。企業がほしいのは、若く伸びしろのある「即戦力」なのだ
シニアを待ち受ける“年齢の壁”
「そんなことはない! 私は50代で転職エージェント(人材紹介業)に登録したら、『すばらしい経歴ですね。いい会社があればすぐにでも紹介します』と言われたぞ」
そう反論する方もいるかもしれない。よくわかる。しかし実は、その言葉こそが「人材紹介業のルール」に則ったものなのだ。
1つは2007年10月に改正された雇用対策法だ。
「事業主は労働者の募集及び採用について年齢に関わりなく均等な機会を与えなければならない」と決まった。つまり求人票に「年齢不問」と書きながらも年齢を理由に断ったり、書類選考や面接で年齢を理由に採否を決めることは、違法行為になった。
だから、表立って「50代以上の人はいらない」などとは絶対に言えなくなったのだ。表立ってないだけで、厳密には年齢制限はしっかりと残っている。企業は決してそれを理由に断ることはないが、我々のような人材紹介業のところにくる案件には、必ず年齢が設定されている。IT化の進展は、この年齢制限をよりドライに突き進めている側面がある。
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