「会議をまとめるのが下手な人」に欠けている視点 「何も決まらない会議」を生まないための考え方

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素案に対して四方八方から意見が出てきてしまい、それを処理し切れず会議がフリーズしてしまうのはよく見る光景です。

これは、ディスカッションの内容を整理しないまま各々が思ったことを話してしまい、会議参加者の思考が発散してしまっている状態で、本質的には推進役の、出てきた意見を料理する技術に起因します(推進役については前回記事をご覧ください)。

推進役の技術レベルが低いと、推進役自身が「これだ!」と思える考えを持つことができず、出てきた意見のすべてを取り込もうとする、特定の人に偏った意見を採用する、多数決で決めるといった方法を取る傾向に陥りがちです。これでは、せっかくメンバーが考え出してくれた情報を十分に活かすことができません。

一方、上級者は出てきた意見やアイデアを要約したり、翻訳したり、整理(構造化)したりしながら、顧客や提供価値、実現する世界観のイメージの解像度を上げるような頭の使い方をします。

異なる意見から思考の解像度を上げる

先ほどの例で言えば、サービスの価格を素案では月額300円としていたところ、価格についての意見は割れ、さらに年額やオプションといった異なる情報が次々と入ってきてしまい、リーダーやサブリーダーの思考は停止状態に陥ってしまいました。

そこで、私がバトンを受け、メンバーに価格や年額、オプションを考える理由を尋ねると、それぞれイメージしている顧客が異なることがわかりました。価格が高いと言った人は個人ユーザーを対象に、逆に価格が安すぎると言った人は大手企業を対象に考えていました。

また、年額は導入時に必ず予算化が必要な総務担当者を、オプションはエンドユーザーを顧客にした意見だということがわかりました。メンバーは、サービス企画という観点だけでなく、事業成長の観点から意見をしていることに気がつきました。

私は「スタート段階では、中小企業経営者を対象に必要最小限の機能に絞ったシンプルかつ安価なプランが受け入れられると考え、月額300円に設定しています。これなら赤字になりません。導入先の社内利用が広がれば、みなさんの意見からオプションや年額プランなどを提案し、そして中堅~大手企業への導入を図り、収益を伸ばすイメージではないでしょうか」と話を整理。

「この考えに違和感がないようなら、リーダー、サブリーダーと事業展開イメージをまとめようと思いますが、いかがでしょうか」と伝え、参加者全員納得して会議を終えました。

次ページ最後は推進役が方向を示す
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