パンダは暑がり「産室22度」で過ごす双子の成長記 生後3カ月で5kg超、歯も生え寝返りも上手に

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双子の成長に伴い、人工保育の場所が変わった。双子はシンシンと一緒にいない時、当初は保育室にある保育器で過ごしていた。だが体が大きくなったので、8月27日に保育器から外に出して、同じ保育室内に設置した「サークル」の中に移した。

サークルは1.5×1.5mの広さ。脱出できないように囲いがある。ペット用ではなく、人間の赤ちゃん用として販売されているものだ。サークル内には、園内で販売している、シャンシャンがモデルのぬいぐるみを置いている。まだ目が見えていない可能性もあり、「何かに抱きつきたがるようです」(上野動物園の大橋直哉教育普及課長)

サークル内で過ごす雄(手前)と雌の赤ちゃん。シャンシャンがモデルのぬいぐるみもある。9月6日。画像は動画からの切り出し(画像:公益財団法人東京動物園協会提供)

サークルがある保育室の温度は現在、20度ほどに設定している。産室の設定温度も22度で涼しい。パンダは暑さが苦手なためだ。

ただ、生まれて間もないパンダの赤ちゃんは違う。毛が生えておらず、自分で体温を調節できないので、母親に抱いて温めてもらう必要がある。シンシンもずっと赤ちゃんを抱いていた。

人工保育の時は、シンシンに温めてもらえない。そこで双子の誕生直後は、保育器内の温度をなんと35度に設定していた。

ひっくり返り、鳴き叫んで助けを求める

双子は着実に成長している。寝相は、誕生直後は伏せ寝で、生後2週間ごろから仰向けで寝ることもできるようになった。

寝返りはだんだん上手になっている。当初は、自力でひっくり返ったのに自力で元に戻れず、鳴き叫んで助けを求めることが多かった。しかし9月20日の動画では、雌がサークル内でクルリと鮮やかな寝返りを披露している。

2頭とも1日の大半を寝て過ごしているが、起きている間は動きが活発になってきた。8月中旬には、前足に力を入れて、上体をぐっと持ち上げることができるように。9月中旬には、這って移動できる範囲が広がった。触れられるとビクッと驚くなど、触感にも敏感になっている。

パンダの赤ちゃんは目も耳も開いていない状態で生まれる。上野動物園の双子も同様だった。8月末には2頭とも目が開いたものの、物を識別するほど見えているかどうかは、現時点ではっきりしない。

耳はというと、9月上旬には、話し声や物音に反応して吠えたり、頭をあげたりするようになったため、音は認識していると職員は考えている。この時、歯はまだ生えていない。

外見は、生まれた時は全身ピンク色だったが、次第に目の周り、耳、肩から前足、後ろ足などに黒い毛が生え始めた。白い毛も一段と伸びて、すっかりパンダらしくなった。長いまつ毛と、しっかりした肉球もある。

こうしたことから、上野動物園は、双子の発育は良好だと判断。中国の専門家も「順調である」との見解を示したそうだ。それでも安心はできない。双子の50日齢を目前にした8月11日、上野動物園は双子について、獣医師の記録を伝えるとともに、「まだまだ小さいことには変わりなく、油断はできません。24時間体制を継続し、中国側とも緊密に情報交換をしながら、注意深く飼育管理をしていきます」と文書で述べた。

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