パンダは暑がり「産室22度」で過ごす双子の成長記 生後3カ月で5kg超、歯も生え寝返りも上手に

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体重や体長のほか、生理的な状況(心拍数・呼吸数・腹部体表温・経皮的動脈血酸素飽和度:SpO2)も問題ないと上野動物園の職員は見ている。同園が8月16日に撮影した動画には、赤ちゃんパンダの体に聴診器をあてる様子や、小さなしっぽから心拍数などをはかる様子が映っている。

この時の心拍数は152~153。人間の新型コロナウイルス対策でも参考にされているSpO2は98%だった。SpO2は、血液内の酸素が十分に多ければ100%に近い数値を示す。これらの数値は、双子が10日齢の時からはかっている。

ちなみに海外の動物園では、出産前の雌のパンダに超音波検査をして、妊娠しているか事前に判明させることがあるが、上野動物園は実施していない。なるべく母体に負担を与えないようにするためだ。

体長測定される雌の赤ちゃん(左)とそばで動く雄の赤ちゃん。9月13日(82日齢)。画像は動画からの切り出し(画像:公益財団法人東京動物園協会提供)

10~15日で双子を入れ替え

「すり替え作戦で育児」双子パンダ誕生の舞台裏』で紹介したとおり、双子には「入れ替え保育」を採用している。パンダの母親は通常、1頭しか育てない。そこで、母親が産室で1頭を育てている間に、もう1頭を職員が保育器などで育て(人工保育)、適切な時期に赤ちゃんを入れ替えることにより、2頭とも母親に育てさせる方法だ。

上野動物園の双子を入れ替える間隔は徐々に延びている。当初は毎日入れ替えていたが、その後は約1日おきに。7月中旬以降は約5日にした。これには理由がある。

双子が母親のシンシン(真真)と一緒にいる時は乳房から母乳を飲むが、人工保育の時は母乳に人工乳を加えたミルクを7月1日から飲んでいる。飲む量が増えて、母乳だけでは足りなくなったためだ。双子が人工乳に慣れないうちに母乳100%に戻るよりも、ある程度慣れてからのほうが良いと職員は判断。入れ替える間隔を約5日に延ばした。

保育器内で哺乳瓶からミルクを飲む雄、9月6日(75日齢)。画像は動画からの切り出し(画像:公益財団法人東京動物園協会提供)

人工保育時に母乳に加える人工乳の割合は、少しずつ増やしていった。そして雌は7月22日から、雄は7月27日から、全量が人工乳になった。1頭が1日に飲む人工乳の総量は、8月中旬時点で、多いと300ml以上に達した。飲む時は哺乳瓶を使う。

誕生直後はシリンジ(針のない注射器)で飲ませていたが、少量ずつしか飲めないため、早い段階で哺乳瓶に変えた。いずれは、職員の手を借りずに、お皿から飲めるようになるだろう。

双子がシンシンと一緒にいる時は、引き続き乳房から母乳を飲んでいる。

双子を入れ替える間隔は8月下旬以降、さらに延びた。飼育員が母子の状態を観察しながら、10~15日間ほどを目安に入れ替えている。

排泄の際は、シンシンが舐めて排泄を促してあげている。人工保育の時は、職員がお湯であたためた脱脂綿で肛門の周りをやさしく刺激して、糞を出している。双子が自力で排泄できるかどうかは、現時点で明確になっていない。

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