豊かな日本社会で「心を病む人」が増えている理由 「エゴの連鎖」を止めれば心穏やかに生きられる
瞑想は思考力を高めます。それは、自分が今なにを感じているのかに気づくことによって、自分の本来の思考を阻害しているもの、邪魔しているものをそぎ落とす働きがあるからです。
本書にも書かれていますが、瞑想は、心の余分なものを「手放す」という作用をもたらしてくれるのです。
「手放す」ことで思考がクリアになる
その人本来の思考力やクリエーティビティーがあっても、心が目先のいろいろなものにとらわれてしまうと、それが見えない状態になってしまいます。
食べ物でいう、素材本来の味を忘れてしまうようなものですね。濃い味付けのものを食べれば食べるほど、本来の味がその濃い味に埋もれ、わからなくなってしまうのです。
瞑想とは、心が動かない状態であるといわれますが、だからこそ瞑想をすることによって、なぜ心が動いてしまうのかがよくわかるようになります。先入観やしがらみ、過去の考え方にとらわれて、それが自分本来の思考や創造性、イノベーションの邪魔をしていることが見えるようになるのです。
今、どんなことが自分の心から湧き起こっているのかを純粋に感じ取り、キャッチする。それができるようになると、余分なものを手放すことができて、思考がクリアになります。
物事の本質をつかめるようにもなります。表面を包むようなテクニカルなものではなく、より普遍的な感性へと近づいてゆくでしょう。
欧米化した時代とはいえ、日本にはやはり仏教的な考え方が染みついているところがあります。アメリカでは、大谷翔平さんがスタジアムでごみを拾うだけで大ニュースになりますが、ごみを拾って持ち帰るというのは、多くの日本人がやっていることですよね。
日本人が根底に持っている「お互いさま」「おかげさま」のスピリットはまだ残っているのです。
かつては「キモチ」でやられていたことを、無機質な「ルール」に置き換えたり、物質社会が便利になればなるほど、取り繕えば取り繕うほど、本質は見えなくなりますが、その中で、アシュラムの僧侶と、物欲的な世界で生きる人たちをつなぎ、乾いた心をどう潤すことができるのかという本質を伝えているのが『モンク思考』です。
成功することには興味はあるけど、修行はしたくない、でも心の安定やセラピーなどで、病んだ心を立て直してみたいという方には、ぜひ手に取ってみていただきたい1冊です。
(構成:泉美木蘭)
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