豊かな日本社会で「心を病む人」が増えている理由 「エゴの連鎖」を止めれば心穏やかに生きられる
国連が掲げるSDGsは、自己利益だけではなく、人々に貢献し、循環させるという発想で企業活動をすることを提示しています。
目まぐるしく移り変わる時の流れの中で、どんな役割を担って社会に貢献し、どう存続していくのかが、企業のみならず個人単位でも、そして個人のみならず、企業全体として取り組むことが問われているわけです。
そこから、自分たちがなにをやるべきかという強い使命感を持つ。それが本書のテーマである『モンク・マインド』です。
モンク・マインドとは、直訳すると「僧侶の考え方」ですが、その対照にあるのが、モンキー・マインドです。
たった3秒さえもとどまれない脳
瞑想をはじめるとよくわかりますが、人はたった3秒で何かを考えはじめてしまいます。
呼吸を意識しようと思った端から、「今日あんな会議があった」と未来の出来事にのめり込んでゆく。そしてそのすぐ後に「あのときの上司の発言には腹が立ったな」と思い出したところで、今度は、怒りの映像なんかが連想されて出てきたりするわけです。
こうして、サルのように目まぐるしく動き回り、どんどん連想していく心の状態を、モンキー・マインドといいます。象徴的なのは、それが自分の安全や自己利益などを重視する感覚の延長線上に現れるということです。
『モンク思考』のサブタイトルは「自分に集中する技術」ですが、いざ集中しようとすると、今の自分に必要ではない思考がどんどんわき起こってくるのがわかります。それは、「あれが欲しい」「これは嫌だ」と思っているエゴや欲求から芽生えて、連想されていくものなのです。
私たちがモンキー・マインドでいる、つまり、自分の快楽や都合を考えるというエゴイスティックな欲望の連鎖の延長上に、今の社会があります。これまではそれが必要な時代だったと思いますが、一定の安全と快適が確保された今、従来のやり方では太刀打ちできない状況に直面していることは先に触れたとおりです。自分の、そして自社の利益を上げることだけにとらわれていると、時の流れにすぐに取り残されてしまうという時代。
そんな状況を打開し、次の時代を切り拓いていくために必要な考え方が、本書で「モンク・マインド」として紹介されている僧侶的な心なのです。
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