豊かな日本社会で「心を病む人」が増えている理由 「エゴの連鎖」を止めれば心穏やかに生きられる
私たちは、自分1人ではなく、いろんな人のおかげで成り立っています。そのつながりを感じて感謝し、ただお返ししたいという気持ちが自然に湧き起こり、それがシンプルに循環していく。自分の利益だけではなく、その瞬間、自分たちの置かれた状況を感じ取り、社会に対して自分になにができるのかを考えるという心です。
相手のことだけを考えて自己犠牲に走るのではなく、自分も相手も同じぐらい大事に考え、全体にとって有益な行動をするという発想ですから、エゴの連鎖が止まり、心が穏やかに整うのです。モンク・マインドは、これからの世界には急務でしょう。
本質をおさえた多角的なメソッド
『モンク思考』では、このモンク・マインドを非常にうまくメソッド化して、あらゆる角度から理解できるよう、波状的に網羅しているところが素晴らしいと思います。
私自身、著者のジェイ・シェティさんのように、インドの僧院アシュラムに入って修行に励んだ経験があります。物事の真理や道理など、本質的なことを、師や先輩から学ぶわけですが、本書のようなわかりやすい方法は、そこでは到底教えてはもらえません。
ほんの一例ですが、シェティさんは、「あなたは何にいちばん多くの時間を使っていますか?」「本当に大切なことに時間を使っていますか?」といった問いについて、ノートに書き出してみるという方法を紹介しています。
こういったことは、アシュラムでは、祈りや奉仕、食事、所作など「日々の修行」という形で何年もかけて教え込まれます。でも、そんな修行を今日からやりなさいと言われても、一般のみなさんは興味を持ちませんよね。
そういった、アシュラムでは日々の所作を通して仕込まれるようなことを、現代人になじみのある、わかりやすい「メソッド」として丁寧に書かれていますから、ハンドブックとしても使える1冊になっています。
特に呼吸瞑想は、ビジネスパーソンにとって取り入れやすいでしょう。呼吸を意識することで呼吸そのものの持つ精神安定作用が付加され、いろんな考え方が遮断されることによって落ち着いてくるというものです。
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