災害打撃も「熱海復活の仕掛け人」が悲観しない訳 土石流災害で浮かび上がった課題と解決の糸口

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熱海復活の仕掛け人である市来広一郎氏に現状と今後について聞いた(東洋経済オンライン編集部撮影)
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静岡県熱海市の伊豆山地区で大規模な土石流が発生して、1カ月以上が経過した。被害に遭った建物は131棟。これまで23人が亡くなり、今も行方不明者4人の捜索が続いている。『不動産は特需消滅、災害1カ月で見えた熱海の苦境』では、不動産や観光業の苦しい実態をお届けしたが、熱海には衰退の一途だった熱海を民間主導のまちづくりで再生に導き、2011年には250万人を切っていた観光客数をわずか4年で300万人超に回復させた立役者がいる。machimori代表で、『熱海の奇跡』の著書がある市来広一郎氏だ。市来氏に災害後の現状とこれからについて聞いた。

同級生や知人の多くが被災し、心を痛める日々

――ご自身の地元である熱海で数々のまちづくり事業を手がけてきました。つながりも多いと思いますが、周囲に被災した方はいましたか。

そうですね。災害のあった伊豆山地区は、私が生まれ育った家から近い場所にあり、同級生や知人が多く住んでいるエリアです。自宅が被害に遭って避難している同級生や、残念ながらお亡くなりになってしまった古くからの知人もいて、非常に心を痛めました。周りにいる人たちも、親類や友人・知人の誰かが被災している状況で、すごく身近なところで起きた災害なのだと実感させられました。

幸い、私も家族も被害に遭っていませんので、災害の発生直後から行政やさまざまな事業者と連絡を取り合い、支援が必要なところに人を紹介するなどのサポートを行いました。

――市来さんの周りでは、被災した方たちに向けてどんな支援が行われていますか。

ここ10年の間に熱海に魅力と可能性を見出して新しく事業を立ち上げたメンバーが数多くいまして、そうした地域のプレーヤーたちが被災者のために自主的に動いて支援する姿が目立ちました。

例えば、熱海市伊豆山で介護タクシー会社を営む「伊豆おはな」は、土石流の発生直後、土砂やがれきが迫りくる中で逃げ遅れている高齢者を避難誘導したりですとか、熱海銀座商店街で会員制のシェアスペースを運営する「CLUB HUBlic(クラブハブリック)」は、避難所で思うように勉強できない高校生のために場所を提供したりしました。

その後「認定NPO法人カタリバ」の協力によって、中高生の居場所作りから始まり、それが学習支援に発展するなど、支援が広がっています。

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