日本人は豪雨災害がなぜ起こるかをわかってない 大地の固有の凸凹「流域」を知らないと命が危ない
今までの常識では対応できない豪雨が増えている
ここ数年、豪雨の災害が続いています。小さな川(中小河川)の氾濫だけではなく、鬼怒川、球磨川、最上川など、大きな一級河川が氾濫し、多大な被害が広がっています。丘陵・山地では、斜面を駆け下る土石流によって、多くの人命が失われました。
この傾向は、おそらく一過性の現象ではありません。地球規模の気候変動によってこれからも続く、あるいは、さらに厳しくなると考えられています。
わたしは、都市河川の下流域で何度も大きな水害を体験してきました。同時に、地域の治水安全・実践的な防災活動に長く関わってきた市民の一人です。また、都市の自然環境の保全や水土砂災害の防災(または減災)に強い関心をもつ生態学者としての日常もあります。治水や自然保護に関する国や自治体の審議会委員なども長く経験した研究者の一人として、この課題に向き合ってきました。
近年、水土砂災害が急増した第一の理由は、強い雨が増えていることです。これからの50年、100年、200年にも及ぶ深刻な地球温暖化の表れだという意見も有力です。現状は、数十年間隔の気象変動のレベルという解釈も完全に否定されているわけではありませんが、いずれにしても、ここ10年の動きを見ていると、今までの常識では対応できない豪雨が増えていることは事実です。
この傾向はこれからも続くと考えておくべきでしょう。わたしたちは、すでに温暖化豪雨時代の入り口にいるのかもしれない。そう判断し、対応していくほかないと、思われます。
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