人気化粧品メーカー・ロクシタンと提携する、集英社の「不安と恍惚」

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 編集ノウハウを武器に、単一広告主から制作物を受注するカスタム出版は、同業他社も以前から取り組んでいる。今回は、紙媒体に加えてWebサイトの制作・運営も引き受けたというだけの話にも聞こえる。

Webを加えることで、顧客の嗜好データなどを蓄積しやすくなる点はメリットといえるが、当然前提として相応数の利用者が集まらなければ果実は得られない。

もちろん、集英社のうまみが受注費だけだったらわざわざ記者発表など行わないだろう。

同社にはもう1つ狙いがある。同社ブランド事業部担当者はこう話す。「人気ブランドの世界観を反映させた楽しいコンテンツが作れた。読者の獲得にもつながる」。 編集担当者も、「自社サイトの活性化に期待」と目を輝かす。

実は、今回Web版が開設されたのは、同社の女性誌ポータルサイト「s-woman.net」上なのだ。同社には、同サイトの規模を今後1年間で拡大させ、Web事業を収益の柱にしたい、との思惑がある。LJとの提携もその一環というわけだ。

自社サイトを利用した、美容関連の異業種提携は今回が初めてではない。

たとえば、09年7月には美美美コムと提携し、同サイト上で美容室の検索予約をできるようにした。また、11月には美容雑誌「マキア」及び同サイト上のWeb「マキアオンライン」とサイバーエージェントの女性向けコミュニティサイト「AmebaGG」を横断させ、コスメや美容商材に特化した広告商品の開発・販売を手掛ける提携も行っている。

女性読者を意識した動きとはいえ、一連の提携は果たして明確な戦略に基づく経営判断なのだろうか。

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