人気化粧品メーカー・ロクシタンと提携する、集英社の「不安と恍惚」
出版不況、特に雑誌不況が叫ばれるなか、出版大手の集英社が、化粧品メーカーのロクシタンジャポン(以下、LJ)と業務提携し、「全く新しい形態のメディア」を開発すると発表した。
両社が共同で手掛けた新メディアの名前は「L’OCCA(ロッカ)」。LJが展開するブランド「ロクシタン」の愛好者に向けたコミュニティメディアだという。
具体的には、5月25日に雑誌「L’OCCA」を創刊すると同時に、Web版「L’OCCA」を開設した。両者を連動させてLJと顧客とのコミュニケーションを深めることが狙いだ。
雑誌は、年4回発行の季刊誌(A4判20頁)の形式をとる。ロクシタンの商品紹介だけでなく、ファッションやグルメ情報なども盛り込んだ、ライフスタイル提案型の誌面となっている。初回発行部数は50万部、LJが全国に展開する77店舗(10年4月現在)で、製品購入者に無料で配布される。
Web版は、占いや投票といった娯楽コンテンツがあるほか、会員登録をすると掲示板への書き込みや写真投稿ができる。店舗スタッフをはじめとするロクシタン関係者がユーザーの質問に答えるなど、双方向の対話を生み、ファンが集うコミュニティサイトを目指す、という。投稿された声や写真は、今後季刊誌の誌面作りに反映させる予定だ。ロクシタン運営のECサイトへの誘導も行っている。
真の狙いは女性誌のポータルサイト
ビジネスモデルとしては、LJ1社のスポンサードにより、編集・制作・運営を集英社ブランド事業部が行うという形態だ。「マーケティングサポート」という今まで出版社においては未開拓であった次世代型ビジネス、と集英社は謳う。
だが、突きつめれば「カスタム出版に毛の生えたようなもの」といった声が聞かれるのも当然だろう。