猪尾さんは、事業者の方々の意識についても、決して低くないと言います。
「事業者は投資金額以上のリターンを返したいと強く思っている人が多いです。契約上は、事業実績が予定を下回った場合には、分配金が出資金を下回ることを出資者に承諾を得ているのですが、最初からそういうふうに思う人はまずいません。資金が返ってこないかもしれないのに出資するという、真の応援者の方々の期待に何とか報いたいという気持ちが働くようです。説明会やツアーなどで事業者と投資家の皆さんが直接、顔を合わせるのも影響していると思います。顔が見える分、事業者の意識が高まる要素はあるかもしれません」
投資家が高いリターンを求めない一方で、事業者は何とかリターンでも報いたいというのは、通常の投資家&事業者とは異なる関係性です。これは管理的なガバナンスというよりも、顔が見える共感から生まれた信頼をベースとしたガバナンスであると言えます。このような関係性の結果、高いリターンが生まれるのであれば、これは理想的な関係性です。ただ、その結論についてはもう少し見てみる必要がありそうです。
投資の多様性は資金調達の多様性
また、「セキュリテ」のような投資プラットフォームは、新しい資金調達手段という視点からも注目が集まっています。
「中小企業は、長い期間でリスクマネーを調達するのは難しい。でも、一方でよいモノを作ろうと思うと、長く時間がかかる。たとえば、酒米と麹と水だけ作る純米酒。本当は3年くらいお酒を寝かせて熟成させたいのに、早く稼がないといけないので、すぐ出荷して販売してしまうということがあるのです」
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