志のあるおカネで、ニッポンを元気にしたい セゾン投信中野氏×ミュージックセキュリティーズ小松氏

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 金融と言うと、真っ先に頭に浮かぶのは銀行や、証券会社だ。銀行なら、預金を通じておカネを集め、それを企業に融資する。また証券会社なら、企業などに株式や社債などの有価証券を発行してもらい、それを投資家に販売、企業の資金調達を手伝う、といった具合だ。だが、おカネの出し手である個人にとっては、自分のおカネがどう有効に使われているのか、なかなか見えない。
 こうした既存の金融に対して、オカネが必要な側、出し手側双方に、「マイクロ投資」という、新たな資金のやりとりをする仕組みを提供しているのが、ミュージックセキュリティーズの小松真実氏だ。規模は小さいが志のあるおカネの流れを生み出している。セゾン投信社長の中野晴啓社長と、マイクロ投資が生み出す、新たな金融の可能性について、語ってもらった。

「共感投資」という、新しい考え方

中野 まず、小松さんの会社であるミュージックセキュリティーズが、どんな活動を展開しているのか、ということからお話していただけますか。

小松 創業は2000年です。会社名にもあるように、ミュージシャンに投資する匿名組合を立ち上げたのが最初です。「このミュージシャンを応援したい」という気持ちを持った人たちが、1口1万円という小口資金を持ち寄り、資金面からミュージシャンをバックアップする。で、そのミュージシャンが作った制作物を、出資した投資家が皆で楽しむ。

CDなどの売り上げが上がったら、出資比率に応じて投資家に金銭的な還元が行われますが、基本的にこのスキームに投資する動機というのは、金銭的なリターンを求めるよりも、どちらかというとミュージシャン自身の生き方、音楽に対する姿勢、生み出される音楽そのものに対する共感があります。言うなれば「共感投資」ですね。

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