なぜ「パーパス経営」が「御社」に実装できないのか 経営現場に見る3つの落とし穴とその回避策
パーパス経営が注目される背景
パーパス経営が、世界中で注目されている。以下の外部市場の変化が背景となっている。
1つ目が顧客市場。BtoC市場では、倫理的な(エシカル)消費が台頭している。BtoB市場では、地球や社会に負をもたらす企業は、そもそも市場から締め出されてしまう。
2つ目が人財市場。現在30代(ミレニアル世代)、20代(Z世代)、そして10代(アルファ世代)の若者は、「働きがい」を求めている。いくら「働き方」改革を進めても、地球や社会にやさしくない企業には、いい人財は集まらない。
3つ目が金融市場。ここではESG(環境・社会・ガバナンス)が投資や融資の基軸となりつつある。ESGに注力したところで、企業価値が高まるわけではない。しかし、ESGに配慮しなければ、いずれ資金が集まらなくなる。
パーパスは「存在意義」と訳されることが多い。しかし、それではいかにもよそよそしいので、筆者は「志」と訳している。金の自己増殖運動に振り回される資本主義(キャピタリズム)に、未来はない。これからは、志に基づく「志本主義(パーパシズム)」の時代が到来するはずだ。
そのような思いを込めて、筆者は4月に『パーパス経営――30年先の視点から現在を捉える』を上梓した。パーパス理論の進化のプロセスや先進事例を紹介し、日本企業が日本流の志本経営を軸に世界をリードする可能性を示唆したものだ。
企業人の多くは、パーパス経営の必要性に気づいている。しかし、その実装に関しては、まだまだ手探り状態のようだ。
最近、筆者が登壇したパーパス経営のウェビナーには、300人以上の視聴者が集まった。そのうちの4分の3が、「自社ではパーパスを明文化している」と回答。さすがに先進的な方々の集まりだけある。
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