「ワタミの人手不足は解消に向かっている」 桑原社長が語る、ワタミの進むべき道(後編)

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ただ、アルバイトの採用ができなければ、いくらコンプライアンス委員会を作ろうが、辛いのは社員。そこで60店を減らす。営業時間を短縮した店も120店ある。従来は3時までの営業だったが、23時までの営業に見直した店もある。社員の労働環境を守ろうということだ。

理念そのものは変えていない

桑原豊(くわばら・ゆたか)●1958年生まれ。78年にすかいらーく入社。83年藍屋入社。98年ワタミフードサービス(現ワタミ)に転職、同年に営業本部長。翌99年に常務取締役に就任。ワタミダイレクトフランチャイズシステム代表取締役を経て2009年から現職

――第三者委からは「365日24時間死ぬまで働け」という理念の見直しも求められた。

ここは間違わないでいただきたい。理念そのものを否定されたのではない。理念集のある部分のタイトルに「365日24時間死ぬまで働け」と確かにあったが、中身を読んでいただくと「社員、仲間に寄り添ってあげてくれ」ということだ。

 今回はこの理念を変えるのではない。ただ、ご両親をはじめ、その表現に心を痛めてしまうのであれば、タイトルを変えるのはやぶさかではない。そこでタイトルだけ「仕事とは、生きることそのものである」に変えてさせてもらった。

ネットでは「そんな簡単に大切な理念を変えるところがブラックだ」と言われた(笑)。でも、意味はまったく変わっていない。

――創業者で、現在は自民党参院議員の渡邉美樹さんと会う機会はどの程度ある?

2週間に1回程度、議員会館にご挨拶に行く。ワタミ社内の会議に出るということはない。あとは情報交換を含めて、というぐらいのペース。創業者であり大株主である渡邉さんに報告するという意味で会う。

――どういうアドバイスをもらうのか。

いろんな意味で今年去年と厳しい時期だから、今の政策をしっかりとやれば、あとはよくなるよということ。ある程度戦略はできているから、一枚岩となって実行に移していこうということだ。

(撮影:今祥雄)

「週刊東洋経済」2014年7月26日号<7月22日発売>では、外食業界などの現状をリポートした「人手不足の正体」と題する特集を掲載しています。
又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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西村 豪太 東洋経済 コラムニスト

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にしむら ごうた / Gota Nishimura

1992年に東洋経済新報社入社。2016年10月から2018年末まで、また2020年10月から2022年3月の二度にわたり『週刊東洋経済』編集長。現在は同社コラムニスト。2004年から2005年まで北京で中国社会科学院日本研究所客員研究員。著書に『米中経済戦争』(東洋経済新報社)。

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