志望を変化させない強気な学生!?
後半ランキングでトップになったのは、JTBグループだ。前半2位から順位を上げた。グループ採用形式を取っており、29の事業会社から地域や事業に密着した“事業推進型”と“グループ総合型”を選択できる。このグループ総合型では、第3希望まで選択可能で、共通一次面接により最大3社の選考を一度に受けられる。また、入社2年目を目安に海外経験が可能になるグローバルエントリーが今年度から新設された。選択肢の多様性とグループ企業による共通選考といった合理的スタイルが、学生に受け入れられた結果だろう。
2位となったのは、前半トップだった三菱東京UFJ銀行。学生コメントからは、「一緒に働きたいと感じさせる行員が多い」「社員が誇りを持って働いている」など、人への好感度を理由に挙げている学生が目立つ。業界トップの安心感だけでなく、“こんな風になりたい”と思える将来像を提示できたことで学生の支持を集めた。
3位は全日本空輸(ANA)。客室乗務員の正社員化を20年ぶりに復活させ、過去最高規模の500人を採用するなど、待遇向上と受け皿の大きさによって、前半4位からトップ3入りを果たした。前後半通じて盤石なブランド力を定着させつつある。競合する日本航空も見ておこう。前半16位から6位まで順位を上げて、こちらも評価が高い。パイロット採用を5年ぶりに再開させるなど、収益改善にともなう積極採用が学生には安心材料となっている。結果として、航空業界2社で相乗効果を発揮する格好となった。
前後半のランキング動向を見ていこう。まずは、マスコミなど競争率の高い“あこがれ企業”が後半でランクアップしていることが特徴だ。電通(前半32位→後半14位)、集英社(同20位→同16位)、日本放送協会(NHK)(同35位→同20位)、博報堂/博報堂DYメディアパートナーズ(同37位→同23位)など。売り手市場を背景に、強気の姿勢を崩さない学生動向がうかがえる。しかし、マスコミ業界全体を見ると、ランキングは下落傾向にある。テレビからインターネットへ学生の利用メディアが変化するにつれ、同業界内でもブランド力にばらつきが出はじめている。
金融は、前後半を通じて強さを発揮する結果となった。上位20位中、前半では9社、後半でも8社がランクインしている。リーマンショック以降、求人倍率は0.2倍前後と安定的に狭き門の同業界。その現実をふまえれば、企業研究が進むにつれてランキング変動があっても良さそうだが、後半で目立って順位を下げた企業は見当たらない。メガバンクを中心に受け皿が大きいこともあり、「上手くすれば…」という学生意識が透けて見える。就職環境の改善にともない、志望業界や企業をあまり変化させずに、4月~5月の春採用にのぞんだ学生が多かったと言える。
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