シャンシャン「数十秒接見に殺到」上野動物園の今 1日2000人に入場制限、「シンシン妊娠」の兆候も

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上野動物園は2020年12月26日から休園したので、休園期間は5カ月と約1週間に及ぶ。記録の残る限りでは、それまでの最長で、同じくコロナ禍を理由とする2020年2月29日~6月22日の3カ月と約3週間を上回った。

東京都などが対象の2回目の緊急事態宣言は、2021年1月8日~3月21日。上野動物園は、その前から休園していた。3月22日~4月24日に宣言が解除された間も、動物園は休園したままだった。上野動物園は都立施設で、運営しているのは指定管理者の東京動物園協会のため、開園・休園は都の判断に従う。

同じ都の施設でも対応が違った

しかも、同じ都立施設でも、東京都建設局が所管する上野動物園や庭園の六義園などを休園している一方で、生活文化局が所管する江戸東京博物館や東京都美術館などは4月24日まで開館していた。東京都美術館は上野動物園のすぐそばだ。

屋内施設を開けて、屋外施設を閉めるのはなぜか、都に尋ねたところ、理由の1つは、1年近く前から海外の機関も交えて準備してきた企画展もあり、それらを中止したら民間に莫大な損害を与えるため。もう一つの理由は、チケットを事前に購入している人が多いためとの回答だった。

なお、上野動物園の休園中は、東京動物園協会が警備会社に補償金を出して、再開園しても警備員を確保できるようにしていた。シャンシャンの観覧には長い行列ができるうえ、歩きながらの観覧なので、多くの警備員を配置していたためだ。しかもこの警備には、ある程度の熟練を要する。

こうした経緯があったので、緊急事態宣言が6月20日に解除されたとしても、上野動物園はしばらく休園すると思われた。ところが都は、緊急事態宣言中にもかかわらず、上野動物園などの都立施設を開園すると発表した。パンダファンの間には、開園を喜びつつも「もっと早く開園できたのでは」と戸惑う声も上がった。

上野動物園が再開園した6月4日は、ビッグニュースも飛び込んできた。15歳のシンシン(真真)に妊娠の可能性があると同園が発表したのだ。シンシンは、オスのリーリー(力力)と3月6日、4年ぶりに交尾していた。4年前はシャンシャンが生まれている。

オスのリーリーも元気に食事(写真:公益財団法人東京動物園協会)

株式市場では、赤ちゃんパンダの誕生と集客への期待から、いわゆる「パンダ銘柄」の株価が6月4日に上昇した。上野に本店がある精養軒の株価は、一時952円へ上昇し、6月2日の終値(856円)に対し96円高となった。

同じく上野が本店の東天紅の株価も上昇。1298円をつけ年初来高値を更新した。

ただし、食べる量が減って休息時間が増えるなど、妊娠時と同様の現象を示す「偽妊娠」の可能性もある。2013年のシンシンは、3月に交尾して5月下旬から採食量が減るなどし、6月4日から公開中止、と今回と日程まで似ていたが、偽妊娠だった。

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