シャンシャンが年内には日本を離れる3つの訳 「せめて直行便が飛ぶまでいてほしい」との声も

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上野動物園のシャンシャン。ファンからは別れを惜しむ声も(写真:AP/アフロ)

日本にパンダブームを巻き起こした東京・上野動物園のジャイアントパンダのシャンシャン(香香)が年内に中国・四川省へ旅立つ。日本へは戻らない予定だ。シャンシャンを中国へ送り届ける業務は阪急阪神エクスプレス(本社:大阪市)が手掛けると決まった。

同社は上野動物園と神戸市立王子動物園のパンダの輸出入をすべて担当した「パンダ輸送のエキスパート」。シャンシャンの中国行きの準備が本格的に始まり、どのようにして中国へ行くかも関心を集めている。

上野動物園は東京都が所管する。同園を指定管理者制度で運営する東京動物園協会は、シャンシャンの中国行きを手がける会社の入札を10月2日に実施。阪急阪神エクスプレスが181万3912円(税抜き)で落札した。

この金額には陸路・空路の輸送費も含むため、チャーターによる専用機の費用には到底足りない。往路だけでなく復路の費用も必要だ。もし費用を賄えたとしても、チャーターの許可は簡単におりない。しかも現在は、新型コロナウイルスの影響で国際線の飛行機は大幅な減便・欠航中。平常時と大きく異なる。

そのためシャンシャンが乗るのは、チャーターによる専用機ではなく、旅客機の貨物室や貨物機になると推察される。「貨物室」「貨物機」と聞いて心配する人もいるが、温度をコントロールする設備などは十分に整っている。高度が上がり、気温が下がっても問題ない。

飛行機の種類や航空会社、シャンシャンの出発日は決まっていない。「日程は中国側と協議して決める。その中で最適な手段をとることになる」(東京都建設局公園緑地部計画課)。コロナ禍により、成田空港から中国への飛行機は、需要の多い上海行きですら、毎日飛んでいないため、出発日が決まれば、自ずと航空会社は絞られる。

中国行きが現実味を帯び始める

入札に先立って、業務の内容を記した「発注予定表」が9月7日に東京動物園協会のウェブサイトにアップされると、シャンシャンを好きな人たちから悲痛な叫びがあがった。「シャンシャンの中国行きの期限は延長されるのでは」と期待していた中、中国行きが現実味を帯びたためだ。

なぜ延長を期待したかというと、日本から四川省・成都への直行便がすべて欠航していたからだ。現在も欠航中だが、発注予定表には、「直行便がなければ上海浦東空港での経由を予定」の文字があった。

このため、シャンシャンの滞在延長を求める電話やメールが上野動物園や都に届き、署名活動も起きた。乗り継ぎによるシャンシャンの心身への負担を案じて、直行便での移動を願い、チャーターに足りない費用を寄付しようとする動きまで出ている。

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