シャンシャンが年内には日本を離れる3つの訳 「せめて直行便が飛ぶまでいてほしい」との声も
上野動物園は10月10日、ツイッターの公式アカウントで「シャンシャンの成長を見守り、応援していただいたみなさまへ感謝を込め」として、10種類以上の記念グッズの発売を予告。すると、「寂しい」「すでに泣きそう」「悲しいですがパンダの未来のため、笑顔で送りたい」というコメントのほか、「得たお金はシャンシャンのために使ってほしい」「グッズの売上金でシャンちゃんをチャーター機に乗せてください!」というコメントも寄せられている。
現状では、シャンシャンの滞在延長は難しい。理由の1つは、すでに1度延長されているためだ。都は、中国野生動物保護協会(CWCA)との協定に基づき、パンダの保護資金として年95万ドルを提供し、パンダを受け入れている。
シャンシャンは当初、都とCWCAの取り決めで「満24カ月齢時に中国へ返す」となっていた。つまり、2017年6月12日生まれのシャンシャンは、2019年6月に中国へ旅立つ可能性があった。しかし、シャンシャンの日本滞在を望む声が強く、都とCWCAが協議した結果、期限は2020年12月31日に延長された。さらなる延長は困難だ。
2つ目の理由は気温。パンダは暑さに弱い。これまでに中国国外のパンダが中国へ渡った時期は11~1月が多かった。シャンシャンの出発が想定される12月は、ちょうどよい時期に当たる。
中国行きは繁殖が目的
3つ目の理由は繁殖。そもそもシャンシャンが中国へ行くのは繁殖が目的だ。パンダは依然として絶滅の恐れがあるが、単に数を増やせばいいわけではない。遺伝子の多様性を保つために、パンダの数が多い中国で、よりふさわしい繁殖相手を探す必要がある。パンダが性的に成熟して繁殖可能になる年齢は、雄が約6~7歳、雌が約3~4歳とされる。シャンシャンは雌で3歳なので、あまり時間がない。
マレーシアのネガラ動物園で生まれたヌアンヌアン(暖暖)、オーストリアのシェーンブルン動物園で生まれた双子のフーフェン(福鳳)とフーバン(福伴)も、それぞれ2017年11月と2018年12月に2歳で中国へ渡った。
アメリカのワシントンD.C.にあるスミソニアン国立動物園で生まれた雌のバオバオ(宝宝)は「4歳までに」、雄のベイベイ(貝貝)は「5歳までに」中国へ行くことになっていて、それぞれ3歳、4歳で渡航した。
話はそれるが、バオバオが2017年2月に中国へ旅立つ前は、アメリカのファンが「行かないで!」「パンダは絶滅危惧種ではなくなったのに、なぜバオバオは中国へ行かなければならないの?」といった意見がたくさん届き、動物園が公式サイトのQ&A欄で回答していた。パンダは世界中で愛されている。
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