「テイクアウトのサブスク需要」が伸びているワケ 弁当を店頭に並べて販売するだけではダメ?

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「コロナで『お弁当を始めました』という飲食店は多いと思います。ただ、お弁当を店頭に並べて販売するだけでは衛生面の問題や食中毒の危険があります。また販売数が読めず食材ロスが出る、結果として原価が上がったり、ピークタイムに注文が入ってきて、オペレーションが回らなくなるといった、さまざまな課題が出てくるのが実情です。そこにポットラックが入り、ノウハウやシステムを提供することで、お店側はスムーズなテイクアウト営業が可能になります」

時短、アルコール販売中止など厳しい状況が続く今、飲食店はテイクアウトやデリバリーで少しでも稼ぎたい。少ない負担で機会が増えるなら、利用したいと考える店舗は多いだろう。

実際にポットラックを活用している店舗

実際にポットラックを活用している店舗にも話を聞いた。渋谷に店舗を構えるアボカドとチーズの店「ウサギ」だ。2019年に20年を迎える常連ファンも多い店で、人気メニューはアボカド料理や、黄味の白いブランド卵「ピュアホワイト」を使ったホワイトオムレツ。

ウサギの名物料理、ホワイトオムライス 濃厚デミグラスソース1000円。ポットラックを利用すればこちらも1食あたりワンコイン程度の価格に(写真:RYM&CO.)

代表の花岡誠一氏は、実はコロナ以前からテイクアウトやデリバリーに広げたいと考えていたという。

「渋谷で20年、来てくださったお客様にサービスを提供し対価をいただくという、いわば街に密着した商売を続けてきました。しかし街が変わるに従い商売の環境も変わります。また東日本大震災を経験し、大災害、大不況など何があるかわからない中、備えとして何かしら考えておかねばならないと考えた。そこでオリジナルグッズを開発したり、テイクアウトの可能性を探って情報を調べたりしていたわけです。いくつかの企業から話を聞いたのですが、選ぶ基準がわからず、どのサービスも決め手に欠けているように感じました」(花岡氏)

そんな時期に、タイミング良くポットラックからの営業があったという。調べたサービスの中でも「ワンコインで提供」という安さが導入を決めた一番の理由だ。

というのも、「テイクアウトは薄利多売の手法」と花岡氏自身が考えていたためだ。ちなみに同店の平均単価は900〜950円である。

3月中旬からテイクアウトをスタートし、月に80〜100件の受注がある。ただし、店内利用も受注数も周辺企業のリモートワーク状況に呼応しているそうで、売り上げ全体としては下がっている。店内利用の客が減った分をテイクアウトが補ってプラスマイナスゼロ、といった状況だそうだ。

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