「テイクアウトのサブスク需要」が伸びているワケ 弁当を店頭に並べて販売するだけではダメ?
「緊急事態だから仕方がないというのは、雨が降っているからお客が来ないというのと同じで、飲食業はそう言っていては始まらないんです。本来は新作を考えるなど、お客を呼び込む工夫をどんどん考えていくべき。
ただ、売り上げが落ち込む中コストも切り詰めなければならないから、メニューもタイトにせざるをえない。悩ましい状況です。
ポットラックはフットワーク軽く動いてもらえるのがいいですね。例えばシステムの不具合があったらすぐに来てもらえるし、割引特典や配送料無料といったプロモーションの提案もしてくれるのでありがたいです」(花岡氏)
同店がポットラックの導入を始めた時期はたまたま店舗の移転も重なって忙しかった。そんな中、メニュー写真の撮影もしてもらえるなど、手厚くサポートがあったことも信頼感につながったようだ。
グルメサイトの信頼性が下がっている
話は変わるが、今、グルメサイトの信頼性が消費者、店舗ともに下がっているという調査結果もある(2021年4月テーブルチェック「グルメサイトに関する意識調査」より)。代わりに利用されているのがGoogleマップやGoogle検索だそうだ。サブスクはお金は払わなければならないが、ワンコイン程度で自分で確かめることができるので、飲食店を開拓したい、という消費者には便利なのではないだろうか。
ポットラックの一番の弱点が、サービスの提供範囲が限られていること。さらにこのところ廃業してしまう店舗もでてきているため、登録店舗の拡大が急務となっている。サブスクサービスにとって、ユーザー評価のバロメーターとなる契約継続率も80%にとどまっており、もう少し上げて行きたいところだ。
まずはビジネスパーソンの需要が見込まれる、品川、池袋などを開拓し、1〜2年のうちに1000店舗、将来的には都内に1万店舗を目指していくというのが谷合氏のもくろみだ。
そのための手法としては、法人向けに福利厚生の一環としてサービスを展開することを考えている。わかりやすく言えば社食の代わりだ。背景として、リモートワークの普及で社食のあり方が変わってきていることがある。
またデリバリーにも力を入れていく。今は宅配業者全盛の時代と言っても過言ではないが、いっぽうで配送業者の路上マナー、店舗や配送先とのトラブル、苛酷な労働環境等さまざまな問題も噴出している。ポットラックでは207株式会社と提携することにより、注文をまとめ効率的に配送できるシステムを採用。定額プランに月額1058円のデリバリーパスを組み合わせることで、対象メニューの送料が平日毎日無料になるサービスも開始している。
今回紹介した例のように、社会が困難に直面した際には助け合いの気持ちが強まり、未来につながる便利なサービスも次々に生まれてくる。ただ、飲食業界の受難はすでに長引きすぎており、まじめな経営努力、前向きな気持ちも限界を迎えようとしている。あまりに苛酷なレースを最後まで走り抜ける企業はどれだけあるのだろうか。
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