本来なら、店舗こそ接種の優先順位は高いはず。しかしある小売り大手の幹部は「一定数の社員がまとまっている本社は別として、各所の人員が多くない店舗従業員は(ワクチン接種を)自治体にお願いする可能性もある」とも打ち明ける。
他方で、こういった企業や、職域接種を行いにくい中小企業の従業員、個人事業主などの”受け皿”になろうとする会社もある。
GMOインターネットや楽天グループは、従業員向けの職域接種に加え、それぞれの本社所在地周辺の地域住民向けにも接種対象を順次拡大する方針だ。
また、ベンチャーキャピタル大手のコーラルキャピタルは医療法人と連携し、ベンチャー企業のための合同職域接種を開始予定。
対象は自社の出資先ベンチャーに限定せず、2万人規模の接種を目指すという。
「外部開放」では別の課題も
むろん、職域接種の対象を自社従業員以外にも広げるとなれば、より難易度は上がるだろう。 GMOはこれまでも、職場でのインフルエンザワクチンの接種を自社設備内で毎年行ってきた。今回もそれで培った予約管理などのノウハウを活用し、外部開放しても混乱を来さないオペレーションを模索するという。
自治体も「接種クーポン」を配布してワクチン普及を急いでいる状況下、行政との連携における課題もある。「(職域接種を受けた人の)接種情報を(自治体などに)提出する必要があると想定しているが、 何をどこで報告するかなどは明確に指示してもらいたい。またその場合、余計な労力がかかる紙ではなく、デジタルデータでの提出としたい」(GMO広報)。
職域接種が進めば、自治体による受け付けの混雑緩和も見込める。不公平感というジレンマを乗り越え、企業主導でワクチン接種を広げられるか。各社各様の試行錯誤が続く。
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