週2の通塾で最難関中学に合格続出する塾の正体 「中学受験2.0」を標榜するシグマTECHの教え方

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「1期生の結果はコロナ前にICT環境が整っていたことが功を奏した部分もあると思っていますが、子どもらしい生活を犠牲にしなくても中学受験はできることを示せたのは良かったと思います」

ここで1期生の実績の背景ついて、ちょっと補足しておかなければフェアではないだろう。シグマTECHの1期生は、スクールFCの4年生が新5年生に上がる段階で説明会を行い、そこで選抜試験も実施している。要するに、1期生からある程度の学力レベルの母集団を集めることができていたのだ。それにしても、彼らのポテンシャルを十分に引き出すことに成功したのは間違いない。

学力最上位層だけに絞ったやり方ではない

「こちらも初めてですから、自宅学習が行える子どもが多い難関コースに絞って募集をしました。でも本当は、どんな学力帯でもこのやり方でやっていけると思っています。今回の経験を糧にして、今後は学力最上位層以外にも『中学受験2.0』を広げていきたいと思っています」

伊藤さんは「中学受験2.0」を自分たちの専売特許にしようとは思っていない。子どもらしい生活を犠牲にしない中学受験の実現のために、シグマTECHのやり方が参考になるならどんどん参考にしてほしいと考え、その思いを著書『オンラインを駆使した中学受験2.0』(エッセンシャル出版社)にまとめた。

シグマTECHの快挙は、大手中学受験塾を中心に形づくられてきた“中学受験の常識”を覆すための“のろし”である。シグマTECHは好条件がそろって初年度から注目されたが、知られていないだけで街中にも、大手中学受験塾とは一線を画す理念で指導してくれる中小規模の中学受験塾はある。彼らの力がもっと認められれば、中学受験のやり方はもっと多様化するはずだ。後編では、理科実験室がある小さな中学受験専門塾を紹介する。

(後編に続く)

おおたとしまさ 教育ジャーナリスト

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Toshimasa Ota

「子どもが“パパ〜!”っていつでも抱きついてくれる期間なんてほんの数年。今、子どもと一緒にいられなかったら一生後悔する」と株式会社リクルートを脱サラ。育児・教育をテーマに執筆・講演活動を行う。著書は『名門校とは何か?』『ルポ 塾歴社会』など80冊以上。著書一覧はこちら

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