女性活用できない「昭和の遺物」に未来はない 「ジェンダー」を知ることはいまや国際常識
「女性がたくさん入っている会議は時間がかかる」━━。
森喜朗・東京五輪・パラリンピック大会組織委員会会長が女性への失言で辞任に追い込まれたのは今年2月のこと。「(自分が属する)組織委の女性はわきまえている」などの発言は、女性に対するアンコンシャス・バイアス(無自覚の偏見)を浮き彫りにした。
公の場における森氏の言動は論外だろう。だが一方で背筋が寒くなった世の男性も少なからずいたのではないか。それだけ日本社会には、不合理な「男性優位」やさまざまな場面での「男女格差」が、根強く残っている。にもかかわらず、それを普段、意識している男性は少ない。
生物学的な性差とは異なり、社会的・文化的な性差を「ジェンダー」(Gender)と呼ぶ。今年3月、世界経済フォーラム(WEF)が発表した「ジェンダーギャップ指数ランキング2021」で、日本は120位だった。前年も121位であり、主要先進7カ国(G7)中では最下位。北欧諸国が上位常連なのは想像がつくものの、アフリカのナミビアやルワンダのほうが日本のはるか上を行っている。
上場企業役員の女性比率はたった6.2%
日本の順位が低かった、つまり男女格差が大きかった原因は、政治分野の147位、経済分野の117位だ。教育分野の92位や健康分野の65位も高いとはいえないが、政治・経済での出遅れが圧倒的に響いている。
6月7日(月)発売の週刊東洋経済6月12日号「会社とジェンダー」特集では、ジェンダーと日本企業のあり方について特集。現状でどれだけジェンダー格差があるのか、どうすればジェンダー平等の社会に少しでも近づけるかについて、取り上げている。
だが男女格差は依然として残っている。日本の企業において、就業者全体に占める女性比率は44・5%なのに対し、管理職の女性比率は14・8%に過ぎない。これが上場企業の役員の女性比率だと、わずか6・2%。年齢が上になるほど、地位が上になればなるほど、女性の絶対数が少ない。企業に限らず、国会議員や裁判官、医師、教員などの世界でも、男性は多数派を占める。
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