日本の女性の地位が今なおここまで低い根本要因 上野千鶴子「すべてのしわ寄せがいっている」

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働く女性の増加は、ジェンダー平等を実現したのか。上野千鶴子さんに聞いた(撮影:梅谷秀司)
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『週刊東洋経済』6月7日発売号は、「これが世界のビジネス常識 会社とジェンダー」を特集。労働人口が減少の一途をたどる中、女性を戦力化できない日本企業に未来はない。
女性活躍、輝く女性――。こうした国や企業の聞こえのいい掛け声のもと、女性の社会進出は進んでいるが、それによってジェンダー平等社会は実現したのだろうか。社会学者でジェンダー研究のパイオニア、上野千鶴子氏に聞いた。

均等法制定36年、働く女性の地位は上がっていない

――1985年制定の「男女雇用機会均等法」以降、女性の職場進出は進みました。それから36年。働く女性の地位は上がりましたか。

上がっていません。均等法に男女差別を是正する実効性がなかったというのが、専門家の共通見解です。

『週刊東洋経済』6月7日発売号の特集は「これが世界のビジネス常識 会社とジェンダー」です(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら

均等法の施行後、企業は雇用における女性差別を、総合職と一般職というコース別人事管理制度を導入する「雇用区分差別」に置き換えることで切り抜けました。つまり、前者は100%男性プラスわずかな数の女性、後者は100%女性が就職するように仕向け、実態をほとんど変えることなく「機会均等」を実現した。

そして長引く平成不況の間に一般職は解体され、彼女たちは不安定な非正規労働者に置き換えられていきます。非正規職は、均等法の対象になりません。

ネオリベラリズム政策を掲げる安倍政権の下で、労働力減少対策として女性の雇用がぐんと拡大し、生産年齢人口の女性の就労率はEUやアメリカを抜いて7割まで高まりました。しかし内訳を見てみると、働く女性の約6割は非正規。

均等法はできたけれど、増えたのはその対象にならない女性ばかりだった、というわけです。

――少しずつではありますが、総合職の女性も増えました。

それは均等法効果というよりも、女性の大学進学率の急上昇に伴って大卒女性の採用が増えた結果ですね。平成不況のさなかに総合職女性はジワジワと増えていきましたが、それは意欲と能力の高い女はちゃんと使い物になる、ということを企業が学んだからです。

では、総合職女性と男性は平等だったのか。答えはノーです。均等法は「機会の均等」を目的としています。つまり、女性にも男性と均等に機会を与えるから、男並みに競争をして勝ち抜け、というわけです。職場での女性差別をなくします、という「結果の平等」とはまったく異なる。

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