「君の仕事はお茶入れじゃない」その一言が必要だ 女性への「無意識の偏見」を知り、行動変容へ
本当に女性はリーダーになりたがらない?
日本企業には女性リーダーが少ない。
令和2年版『男女共同参画白書』(内閣府)によれば、管理的職業従事者に占める女性比率は、日本で14.8%。アメリカ40.7%、英国36.8%、ドイツ29.4%、フランス34.6%と、主要先進国が3~4割なのと比べ、その低さが目立つ。アジアでも韓国14.5%を除けば、フィリピン50.5%、シンガポール36.43%、マレーシア24.6%と、いずれも日本を上回る。
筆者は20年余、ジェンダー(男女の社会的な性差)と、企業を巡る課題を取材・執筆してきた。どうしたら日本企業で女性リーダーが増えるのか。この問いを繰り返し耳にしてきた。
思い出すのは大学生のときに受けた社会学の講義だ。担当教授にしつこく言われたのは、「レポートに、安易に解決策を書くな」ということ。真意は「君たちが簡単に思いつくような解決策は現場ではすでに試している。そんなに簡単に解決するなら深刻な問題にはなっていない」ということだ。
思い付きの解決策ではなく、構造を見るべきという指摘は、ジェンダー格差にも当てはまる。最大の問題は、性差別の歴史や実態を知らない人が意思決定層にも多いことである。女性に対する支援を、「女性優遇・男性差別」と捉える人は現状を中立と思っていて、差別構造が見えていない。
「女性がリーダーになりたがらない」という説明もよく聞く。環境要因の問題が大きい中、自己責任を説いても効果は薄い。本気で女性リーダーを増やしたければ、過去から現在に続く自社の人材マネジメントについて、「性差別」「ジェンダー・バイアス(偏見)」を切り口に見つめ直すべき。日本企業に女性リーダーが少ないのは、管理職の年次で必要な経験を積んだ女性の数自体が少ないからだ。管理職候補が少ないのは結婚や出産による退職のみならず、そういう女性を採用してこなかった企業側の責任がある。
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