女性活用できない「昭和の遺物」に未来はない 「ジェンダー」を知ることはいまや国際常識

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さらに目玉となるのが”男性版産休”だ。男性社員が子どもの出生後8週間以内に、最大4週間まで休業できるようになる。現行の育休では、妻の出産後に休みを取る場合、1カ月前までに申請しなければならず、出産時期が早まった場合などにすぐ休めない、との問題が挙がっていた。しかも今後は2回に分割できるため、子どもの出生時と妻の退院時など、柔軟に休むことも可能である。

しかし、現状は厳しい。育児の実施頻度を見ると、子どもに「食事をさせる」のは、妻が82・4%の一方、夫は33・5%。「保育所へ送る」のでも、妻は61・8%に対し、夫は25・8%だ。「おむつ交換」になると、妻が83・2%、夫は39・5%だった。それだけ妻の“ワンオペ育児”は日常化している。「フルタイムで働く子持ち女性が、何を犠牲にしているかというと、自分の時間資源だ」と社会学者の上野千鶴子氏は説く。

「男女が価値観でぶつかり合い、女性だけの問題となっては、ついてこない。ジェンダーを社会問題として共有しなければならない」(林香里・東京大学副学長)。

あの東大までもが「ジェンダー改革」

東大はこの4月、学長や理事からなる新執行部の計9人のうち5人が女性となる、新たな体制を発足した。学部生における女性比率はまだ19.5%だが、ここ数年、女子学生への家賃補助などを通じ、この数値を引き上げるよう努力してきた。日本の最高学府である東大が変われば、いずれ社会全体にも大きな刺激となるに違いない。

長く閉塞感から抜け出せない日本企業。労働量不足や低い生産性の解消、多様な視点からの新たな発想など、女性の力は今後も欠かせないはず。ジェンダー平等の実現は、日本経済が再成長するのに不可欠な要素なのだ。

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大野 和幸 東洋経済 記者

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おおの かずゆき / Kazuyuki Ohno

ITや金融、自動車、エネルギーなどの業界を担当し、関連記事を執筆。資産運用や相続、年金、介護など高齢化社会に関するテーマでも、広く編集を手掛ける。大野和幸(X)

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